M3 MacBook Proが発売されたが、発表当時から大きな批判を集めたのが、ベースモデルのRAMが8GBしか搭載されていない点だ。この批判に対し、Appleはインタビューにて胸を張って「MacBook Proの8GB RAMはWindows PCの16GB RAMに匹敵する」と主張していたが、その正当性に疑問を持つユーザーがいても不思議ではない。RAMは少ないよりは多い方が快適であるし、動画などの重い処理には多くのRAMが必要となるからだ。
今回、Max Techは実際に8GBと16GBのRAMを搭載したに搭載されたAppleのM3プロセッサに関するベンチマークテストを行い、8GBと少ないRAMがM3プロセッサのパフォーマンスを大幅に制限することをテストにて確認し、公開している。厳密には、Windows PCとの比較ではないため、Appleの主張を完全に論破するものではないが、少ないRAMがパフォーマンスに与える影響を確認する資料としては参考になるだろう。
結論:8GBは少ない
ベンチマークテストによると、Appleの統合メモリアーキテクチャはメモリ性能を向上させるものの、生の容量を補うものではないという事実が浮き彫りになった。
Cinebench 2024 マルチコア | Speedometer | Lightroom クラシック | Lightroom Classic 5 つのタブ* | Lightroom Classic 20 タブ* | Final Cut Pro (4K ProRes RAW から ProRES)* | Final Cut Pro (4K MC in 8K to ProRES)* | Photoshop (Photomerge 50MP x10) | |
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M3+16GB | 710 | 589 | 該当なし | 1:06 | 1:06 | 1:25 | 5:01 | 1:20 |
M3+8GB | 640 | 496 | 1:47 | 2:00 | 5:16 | 1:30 | 20:18 | 1:53 |
Cinebench 2024のマルチコア性能テストでは、16GBモデルが8GBモデルよりも11%高い性能を示した。また、Speedometerによるブラウジング性能テストでは、16GBモデルが8GBモデルに比べて19%高い性能を発揮している。
さらに、8GBモデルではBlenderやFinal Cut Proの一部のエクスポート操作でクラッシュが報告され、メモリ不足により一部のオプションが利用できない状況も発生している。例えば、Blenderのレイトレーシング加速は16GBモデルでのみ利用可能だった。
マルチタスク環境では、8GBのみを搭載したM3は性能が大幅に低下している。Lightroom Classicのベンチマークでは、ブラウザタブが5つの場合は完了時間が12%増加し、20タブの場合はほぼ3倍にまで伸びてしまっている。一方、16GBモデルはブラウザタブの数に関係なく、一貫して高い性能を維持していた。
とはいえ、8GBモデルは、メモリを多く消費する作業を除けば、それ自体で十分な性能を発揮していた。Final Cut Proでの4K ProRes RAWからProRESへの変換では、8GBモデルは16GBモデルよりも6%長い時間がかかっていた。しかし、4K MC in 8K to ProRESのワークロードでは、16GBモデルが8GBモデルの4倍の速さで作業を完了した。Photoshopでは、10枚の50メガピクセル画像の縮小処理は、8GBモデルは16GBモデルよりも41.25%長い時間がかかっていた。
これらの結果から、8GBのメモリを搭載したベースモデルの14インチMacBook Pro(価格は248,000円)は、重度のマルチタスクやプロフェッショナルグレードのワークフローを必要としない消費者には適しているかも知れない。しかし、プロフェッショナルユーザーであり、Macbook Proが必要な場合は、28,000円を追加して16GBモデルにアップグレードする必要がありそうだ。そうしないと、最大で4倍の性能低下を招く可能性がある。
Sources
- Max Tech (YouTube): M3 MacBook Pro 8GB vs 16GB RAM – How BAD is base model?
- via MacRumors: 8GB RAM in M3 MacBook Pro Proves the Bottleneck in Real-World Tests
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