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Intel、バックサイドパワーデリバリーで他社の2年先を行くと主張

Intelは、同社が「PowerVia」と呼ぶ、バックサイドパワーデリバリーをテストチップに実装することに成功したと発表し、同社がこのイノベーションでライバルを大きくリードしていることを示した。同社は、2024年前半にIntel 20Aプロセスノードで登場する予定のPowerViaを披露するために、効率的なコアを搭載したIntel 4の試作品を動作させた。この技術革新は、Intelがより小さなノードに移行するにつれて、ウェハー製造プロセスにおけるいくつかのボトルネックを軽減することになる。

PowerViaは、電源と信号の配線を切り離し、すべての電源コネクタをウェハの裏側に移動させることでこの問題を解決している。これにより、信号線は上から、電力は下から供給され、シリコン・サンドイッチが完成する。Intelは、このコンセプトをテストするために、効率コアを搭載した特注のIntel 4チップを作り、すでに配当が得られているという。例えば、Intelは、Eコアのテストデザインですでに6%以上の性能向上を確認しており、これは実質的に「無料」の性能向上であると述べている。また、Intelは、通常のIntel 4チップよりもダイのより多くの領域を利用できるとしている。すでに通常のIntel 4よりも効率的で、IRドループが30%減少し、よりクリーンで信頼性の高い電力供給が可能になっている。また、IntelはIntel 4よりも熱効率が向上したとは述べていないが、ほぼ同じであるとしている。チップの上部ではなく、中央部で熱を発生させることは未知の領域なので、これは良いニュースだろう。

Intelのチップ製造技術において、現在同社が取り組んでいる内容は、恐らく同社の歴史上でも大きな賭になるはずだ。長年ファブのリーダーを務めてきたIntelは、何度も失敗を繰り返し、現在は、失ったリーダーの座を取り戻すだけでなく、チップ製造受託事業に大きく参入するために、軌道修正に向けた複数年にわたる努力の真っ最中である。

Intelは、RibbonFETとPowerViaの生産開始を来年に控え、これらの技術の第一世代の研究開発を終了する段階に来ている。Intelは今、VLSI業界の同業者に対して、複雑なロジックテストチップの製造に関する最初の知見を提示できる段階にあるのだ。そして、Intelの投資家や外部の人々には、Intelが軌道に乗せるための努力が成功していることを示す最初の証拠を示すことができ、同社が必要としている競争に打ち勝つきっかけを与えることができる。

Intelは、来週のシンポジウムでは、「PowerVia」と呼ぶバックサイドパワーデリバリーネットワーク技術の実装に関する情報を大量に開示する予定だ。これらの論文の中心は、EUVに対応したIntel 4プロセス技術でバックサイドパワーデリバリーを実装したIntelの「製品に近い」ロジックテストチップ、Blue Sky Creekとなる。Blue Sky Creekによって、Intelは、来年の大量生産に間に合うようにPowerViaをCPUで動作させるだけでなく、バックサイド・パワー・デリバリーの性能と製造上の利点が、Intelの約束通りであることを示すつもりだ。今年のVLSIカンファレンスは、Intelにとって非常に大きな意味を持つものになるだろう。

バックサイドパワーデリバリーネットワーク(BS-PDN)の詳細については、以下の記事をご覧頂きたい。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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