米国と中国の緊張が高まる中、世界最大の半導体ファウンドリであり、AppleのサプライヤーであるTSMCを含むチップメーカーが、製造の一部を日本に移す検討を開始した事を、Financial Times誌が報じている。
チップメーカー7社が岸田文雄首相と会談し、事業の一部を日本に移転することを検討することになった。この発表は、日本で開催されるG7サミットを前に行われたもので、経済の安定が主要議題となることが予想される。
岸田氏と会談するのは、台湾に本社を置く世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCである。TSMCは、Appleのすべてのプロセッサーの製造や、Androidデバイスで多く利用されているSnapdragonの製造も担っている。
しかし、地政学的な緊張が高まっているため、少なくとも製造の一部を台湾から移転しなければ、同社は投資家から撤退させられる可能性がある。
台湾は自国の憲法、選挙、パスポート、通貨、軍隊を持つ独立国家であると考える一方、中国政府は台湾を自国の領土とみなしている。
ロシアのウクライナ侵攻に対する世界の反応は、中国にとって、台湾侵攻は経済的なリスクはあっても、核戦争の火種になりかねないという軍事的なリスクはないことを示してしまった。
中国は昨年8月、封鎖のリハーサルを行った。当時、米国の軍事顧問は、短期的なリスクは低いが、中長期的な台湾の見通しは良くないと述べていた。
これに先立ち、著名な投資家Warren Buffett氏が率いるBerkshire Hathawayが、「突然」TSMCの株をすべて売却したことがわかった。これは会社ではなく、立地に対する懸念からだとし、より安全な投資先として日本を具体的に挙げている。
FTによると、TSMCは熊本に新工場を建設することで合意した後、日本への資金と資源の投入に関心を示しているとのことだ。
TSMCのほかにも、Samsung、Intel、Micronが日本での工場建設に関心を示している。
日本の西村康稔経済産業大臣は、日本政府が補正予算から1兆3千億円を使い、海外のチップメーカーを支援すると発表している。
これとは別に、TSMCは2022年12月、アリゾナ州の新しいチップ工場への投資額を3倍に増やしたと報じられた。最近では、米国の労働者を批判し、また、税金の問題で米国のさらなる拡大計画が停止される可能性を示唆している。
Sources
- Financial Times: Global chipmakers to expand in Japan as tech decoupling accelerates
コメントを残す