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暗号通貨マイナーがAIに群がっている

技術トレンドの変化はめまぐるしく、1年前は、暗号通貨、NFT、Web3が話題となり、多くの人がこれらの技術に未来があると投資をしたが、その後暴落したNFTに嘆く様がここ数ヶ月報じられ、Metaはメタバースを忘れているのではないかというくらいに話題にならなくなったが、こうした傾向は、この業界の進歩のスピードの裏返しでもある。今年に入り、テクノロジー業界のトレンドは完全に、ChatGPTのような生成AIを中心に回っている。多くの企業がこの技術に群がる中、暗号資産のために多額の投資を行い途方に暮れていたマイナー達が、再起の可能性を探り、この分野に飛び込んできているようだ。

最近のBloombergのレポートでは、GPUマイニング事業を幅広く展開するHut 8とHive Blockchainの2社が、AIワークロードをサポートするために事業を再構築したことが取り上げられている。これらの企業は、暗号資産空間の他の多くの企業と同様に、大きな課題に直面している。彼らは、ビデオカードの価格が高騰した品薄の時期に、GPUに多額の投資をしたのだ。例えばHiveは、2021年にNVIDIAのGPUに6,600万ドルを費やしている。GPUが暗号通貨のマイニングに使えるとなると、この投資は理にかなっているように思えた。しかし、暗号通貨の価値の低下Ethereumのプルーフオブステークへの移行により、投資を回収することが難しくなった。

幸いなことに、AIモデルのトレーニングは、GPUで可能な高度な並列コンピューティングにも依存している。NVIDIAは、H100 “Hopper”のようなAIに最適化されたカードを数世代開発してきた。現在、これらのカードは活況な生成AI需要のために入手するのは困難であり、そもそもの価格も高額で、数万ドルかかることもある。この状況に目を付けたのが、暗号通貨マイナーだ。彼らはこれまでに多くのゲーミングクラスの強力なGPUを購入してきた。これらゲーミングGPUは、AIモデルを駆動させるために、前述のH100レベルには到底敵わないが、暗号通貨マイニングよりは儲かると踏んだのだ。

NVIDIA Intel Hopper AI Systems With 4th Gen Xeon CPUs

過去1年間、Hut 8はハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に手を出し、GPUの時間を他社に提供することで1,690万ドルを稼ぎ、年間収益の11%を占めた。同様に、Hive BlockchainはAI作業の実験を行っており、2024年までに、HiveはAIから1,000万ドルを、そして2025年までに2,000万ドルを目指したいと考えている。

この傾向は今後も続くと思われ、暗号通貨業者が浮き足立つことを可能にする。しかし、すべてのマイニングGPUがAIワークロードに適しているわけではなく、大量の顧客データを管理することは、メンテナンスと帯域幅の利用が増えることを意味する。さらに、マイニング企業は、AIに最適化されたHPCサービスを提供するGoogle Cloud、Microsoft Azure、Amazon AWSといったテックジャイアントと競合することになる。このシフトは解決策というより、一時的なその場しのぎになる可能性もあるだろう。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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