TSMCの米国での海外工場建設は、かなり以前から計画されていたが、同社は、台湾以外の工場で製造する場合、台湾製造の物よりも大幅にコストがかかると何度も訴えてきた。そして現在、同社は顧客と注文と価格について話し合いを始めているという。DigiTimesの報道によると、TSMCは、アメリカでのファブ建設が自国での建設よりもかなり高価であるため、アメリカ製の半導体チップを台湾製よりも最大30%高く見積もっているという。
業界関係者からの情報によると、米国におけるTSMCのN4およびN5プロセス技術の価格は、台湾のそれと比べて約20%から30%高くなり、日本の熊本工場でN28/N22およびN16/N12ノードで作られたチップは10%から15%高くなる可能性があるとの事だ。TSMCは、米国と日本の工場建設にかかる高いコストを顧客に転嫁することで、粗利益率の目標値である53%を維持することができるようにするつもりだという。米国の顧客はTSMCと交渉を続けており、予算のバランスを取るために、一部の注文をSamsung Foundryにシフトする可能性も出てきそうだ。
このうち、AMDとQualcommはSamsung Foundryにチップ製造を依頼する可能性があり、NVIDIAはIntel Foundry ServicesにIntelの18Aおよび20A技術によるチップ製造の依頼をする可能性がある。しかし、チップの設計も複雑化し、コストもかかるため、チップ設計会社がTSMCとSamsungの両方に同様のチップを発注することは難しいだろう。
TSMCの最も忠実で最大の顧客であるAppleは、約20~30%の割引を維持しているとされ、TSMCの収益の25%に寄与しているとのことだ。この規模は、両社の緊密なパートナーシップに起因するものであり、同時にプロセスの移行を進めるものでもある。また、AppleはTSMCの主要なチップ技術をいち早く採用した企業の一つでもある。
アリゾナ州にあるTSMCのファブは、先進の5nm技術を使って2024年初頭に生産を開始する予定だ。
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