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MITが大幅に静粛性を高めつつ推力を確保した「トロイダル・プロペラ」を開発

MITのリンカーン研究所の研究チームが、航空機やドローン、海洋デバイスに革新をもたらす、新たなプロペラを開発した。この「Toroidal Propeller(トロイダル・プロペラ)」は、従来のプロペラよりも効率を高め、静粛性を大幅に向上させたものとなる。

「トロイダル・プロペラは、小型のマルチローター無操作飛行機、またはドローンを、航空開始以来変わっていないプロペラ形状を使用する現在のドローンよりも静かに作動させることができます。このプロペラを使えば、空からの配達、映画撮影、産業やインフラの検査、農業の監視など、さまざまな用途にドローンを利用できるようになるかもしれません。」と、研究所の声明では述べられている。

2枚のブレードがループした特異な形状

troidal propeller 1

トロイダル・プロペラは、2枚のブレードがループ状に組み合わされ、一方のブレードの先端が他方のブレードにカーブして戻ってくると言う、特異な構造になっている。この閉じた構造により、ブレードの先端で発生する空気のトンネル(渦)の抗力を低減・抑制し、プロペラ全体の剛性を高めている。その結果、プロペラの性能を損なうことなく、ノイズを大幅に低減することができたという。

このことは、試作したトロイダル・プロペラを市販のクアッドコプターに搭載した試験で実証されており、同様の出力レベルで従来のプロペラに匹敵する推力を得ることが出来た上、通常の運用の半分の距離で人間の聴覚に影響を与えることなく機能する事が出来る程、静音性に優れているという。

リンカーン研究所の構造・熱流体工学グループのシニアスタッフであるThomas Sebastian博士はNew Atlasのインタビューにおいて、以下のように語っている。

「プロペラは、ご存知のように、かなり大きな音がします。翼を見れば、それがどのように機能するかがわかります。1900年代初頭や第二次世界大戦中に、人々が飛行機に関するさまざまなクレイジーなアイデアを思いついたとき、基本的にこのようなリング状の翼を持つデザインがいくつかあったのです。そこで私は、このリングウイングをプロペラにしたらどうなるのだろうと考えたのです。

私たちは、より静かなプロペラを作るために、トロイダル形状、つまり環状の翼の形状を使うという最初のコンセプトを思いつきました。私のインターン生に、このアイデアを実行させました。彼は、そのコンセプトをもとに、3Dプリンターで何度も試作を繰り返しました。」

Thomas Sebastian – New Atlas

ノイズを低減する

数回の試行で、チームは特定の推力レベルでの全体的な騒音レベルだけでなく、特に1~5kHz範囲の騒音を低減する設計を見つけ出した。

Sebastian氏によると、「私たちがプロペラの静粛性を高めると考えた重要な点は、プロペラによって発生する渦を、先端だけでなく、プロペラの形状全体に分散させるという事実です。プロペラから発生する渦を、先端だけでなく形状全体に分散させることで、大気中への散逸速度が速くなるのです。渦はそれほど遠くまで伝わらないので、音が聞こえにくくなるのです。」とのことだ。

新しいプロペラの主な特徴は、人間が最も敏感な周波数帯の信号を大幅に減少させ、重量と消費電力を増加させる追加部品を必要とせずに騒音を大幅に減少させる。

ただし、問題もある。欠点としては、かなり複雑な形状なので、安価で簡単な射出成型で作る一般的なプロップよりはるかに難しい。おそらく、3Dプリンターで作る必要があるものだろう。しかし、プロペラの価格が2倍、3倍になったとしても、これらはドローンの中でもコストの低い部品であり、全体的な価格を大幅につり上げるものではないだろう。

また、この新たなプロペラが固定翼機や電動VTOLエアタクシーなどのプロペラを置き換える事になるかは現時点では未知数だ。だがもし、都市部の空域に高速で安価な空中交通があふれることになれば、騒音は重要視されるだろう。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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