2022年は、Microsoftが、傘下のGitHubにおいて、AIコーディング支援ツール「Copilot」をリリースしたことに端を発し、OpenAIのDALL・E 2を組み込んだ新たなデザインアプリを開発していることを明らかにしたことや、最近ではMicrosoftの検索エンジン「Bing」にOpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」を統合し、Google一強の現状を打破することを意図しているなど、MicrosoftとOpenAIの緊密な連携が垣間見える報道が続いていた。
そして今回、The Informationによる新たな報道では、上記に加え、OfficeにもOpenAIのAIが統合され、ユーザーが文書作成やプレゼン作成において、顧客が簡単なプロンプトを使って自動的にテキストを生成できるような、AIによる文書作成支援を受けられるような開発が行われている事が明らかになった。
Microsoftの計画を直接知る関係者がThe Informationに語ったところによると、MicrosoftはOpenAIによって作られたAIをWord、Outlook、Powerpoint、その他のアプリに組み込みたいと考えているとのことだ。
また、将来の計画には、現在「Microsoft 365」にChatGPTのような自然言語での検索が行えるようなツールの統合も意図されているようだ。
実際に、AIによる文書作成支援がどのような物になるのかイメージしづらいかと思うが、同様なコンセプトについては、既にNotionが2022年11月の段階で「Notion AI」を発表しており、参考になるかも知れない。
Notion AIでは、例えば「○○の長所と短所のリストを作成して」や、「○○についての記事を作成して」とプロンプトに入力するだけで、ある程度形になった物が文書として出力されるのだ。新たなOfficeでも、AIが作製した骨格に、ユーザーは肉付けを行う事で、完成品として用いることが出来る様になるかも知れない。
実際に、OpenAIのChatGPTを使った事がある方も同様にイメージがしやすいだろう。ChatGPTでは、自然な言葉でボットにお願いするだけで、文書を作成してくれたり、それこそ“詩”を作製してくれたり、(それが正しいかどうかは別として)一見して驚くほどの自然な文章を紡ぎ出してくれる。これがOfficeに統合されるとなると、その効果は計り知れないだろう。
さらに、この取り組みには、Outlookの電子メールにおける検索結果の改善も含まれ、ユーザーが特定のキーワードを入力しなくても、検索対象の電子メールを判断することができるようになるという。また、メールへの自動返信や書き方の改善提案など、チャットボット的なプログラムも組み込まれる可能性もある。
ただし、こうしたAIの導入に対してはもちろん懸念もある。
AIモデルを個々の顧客に合わせて安全にカスタマイズする必要があるため、プライバシーの問題もある。Microsoftは、GPT-3とGPT-4について、このようにプライバシーを保護する手法に取り組んでおり、前者についてはすでにMicrosoft製品で一定の成功を収めていると関係者は主張している。
プライバシーを守りながら、クライアント単位でのモデル学習を可能にすることで、個人名やプロジェクト名など、個人や会社特有の言葉を拾い上げ、よく使われるフレーズや段落のパターンを学習することが可能になる。この情報は、取り込まれたデータをよりよく理解し、提案を改善するために使用することができるとのことだ。
また、正確性に関しての懸念もあるだろう。最もらしい回答を返しても、それが誤った情報や不快な情報であっては、ユーザーにとってむしろ害悪でしかない。ChatGPTも、リリースされはしたが、その情報は過去のある時点でのデータに基づく物でしかなく、インターネット上のニュースや最新情報を継続的にスクレイピングしていないこともあり、事実と異なる部分が多々あった。この問題を解決することも、MicrosoftとOpenAIには求められるだろう。
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