「まだ着かないの?」:車の移動時間が子供にとって耐え難い理由

The Conversation

学校休暇が終わりに近づくと、国中の親たちが同じことを言う。「もし私が、『もうすぐ着くよ』という言葉を聞くたびに1ポンドもらっていたら、私は金持ちになっていただろう」とね。

私にも3人の子供がいるので、5時間のドライブの30分前になると、尋問が始まるときの恐怖感はよくわかる。

我が家の場合、それはとても丁寧に始まる。「ママ、まだ着かないの?」と後部座席から聞こえてくる。しかし、このアプローチはすぐに攻撃的な反対尋問に取って代わられ、私が以前言った旅の残り時間と、現在言っている残り時間をバラバラにされるのである。

ドライブが終わるころには、もう二度と彼らをどこにも連れて行かないと心に誓っている。しかし、子供にとって旅が耐え難いほど長く感じられるのはなぜだろうか?

その理由のひとつは、年齢とともに時間の感じ方が変わり、年をとるほど時間の流れが速く感じられるようになることが多いからだ。「クリスマスが年々早くなる」という感覚は、その代表的なものだ。

年齢が上がると時間の流れが速くなるのは、年齢が上がるにつれて、これまでの人生の中でどの期間も占める割合が小さくなるためと考えられている。例えば、7歳のときの1年は人生の14.30%、70歳では1.43%しかない。そのため、5歳の子どもにとって5時間の車での旅は、50歳の子どもよりも長く感じるかもしれないん。それは、5歳の子どもにとっては、人生の中で占める割合が大きいからだ。

しかし、それだけではない。年齢を重ねるにつれて、私たちは距離や地理をより深く理解するようになる。この知識は、私たちに目印を与え、旅がどれだけ終わり、どれだけ残っているかを理解する手がかりとなるのだ。

例えば、マンチェスターからデボンに向かう場合、バーミンガムを過ぎれば、だいたい半分くらいまで来たことになり、時間を把握することができる。また、GPSナビゲーションで到着時刻を確認したり、遅れを警告してくれたりもする。しかし、子どもにはこのような知識がないため、大人に「あとどれくらいで着くの」と聞いて、旅の進行状況を判断することになるのだ。

コントローラー出来ないこと

子どもたちが「どれくらい時間が経った?」「残り時間はどれくらい?」という不安を抱くのは、旅そのものをコントロールできないことが原因だ。どのスタンドに立ち寄るか、どのルートで行くか、それを決めるのは大人だ。それもまた、子どもたちの旅を長引かせる一因になっているのかもしれない。

いつ何が起こるかわからないという時間的な不確実性が、時間の流れを遅くしてしまうのだ。大人になってから、そのような経験をした人は少なくないだろう。

例えば電車が駅のすぐそばで停まったときや、飛行機に乗った後、手荷物受取所で「待て」のサインが延々と点滅していたときのことを思い出してみて欲しい。運転手や空港職員からの最新情報は、このような時にとてもありがたかったはずだ。知らないこと、コントロールできないことが、このような出来事を引きずる原因なのだ。

時間に関する不確実性がある場合、それを監視することが優先される。人間の認知能力には限りがあり、常にすべてに注意を払うことはできない。そのため、状況に応じて処理する内容に優先順位をつけているのだ。

時間が不確かになると、私たちは通常よりもはるかに多くの注意を払い、その結果、時間の経過が非常に遅く感じられるようになるのだ。子供にとって時間はより不確かなものであるため、気を紛らわせるものがなければ、時間の進み具合に執着してしまうのだ。

待つ身は久しからず

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また、車内では窓の外を眺めるだけなので、子供にとっては退屈な時間かもしれない。子供にとっては退屈の試練ですが、前の席の親は座って考える機会を楽しんでいることだろう。

子どもは刺激や娯楽を求めるので、すぐに退屈してしまうことが多いが、この退屈は時間の経過を遅らせることにもなる。時間的な不確実性と同様に、退屈の度合いによって時間に対する注意力が変化し、時間の体験に影響を与えるのだ。

退屈しているときは、しつこく時計を見続けるので、時間がどんどん過ぎていくように感じられる。逆に、楽しくて仕方がないときは、他のことを優先してしまうので、時間にほとんど注意を向けない。その結果、楽しいと時間はあっという間に過ぎてしまうのだ。

あなたの次の旅

では、親はどうすればいいのだろうか。まだ旅に出ていない方は、ゲームやお菓子を買いだめして、子供たちの気晴らしにしようと思っているかもしれない。

しかし、私は注意を促したい。たとえ「もうすぐ着くよ」という言葉を減らしても、新たな「気持ち悪い!」の大合唱のリスクを高めている可能性がある。

子どもの嘔吐物まみれになることは、あなたにとって旅を著しく長く感じさせる可能性が高いということが、研究でも経験でも示唆されているのだ。

本記事はThe Conversationに掲載された記事「‘Are we nearly there yet?’: why long car journeys are so excruciating for your kids」について、Creative Commonsのライセンスおよび執筆者であるDr. Ruth Ogdenの翻訳許諾の下、翻訳・転載しています。

著者紹介
lidrogde

Dr. Ruth Ogden

Reader in Experimental Psychology, Liverpool John Moores University

リバプール・ジョン・ムーア大学で12年間、研究者として働いています。私の研究は、人々が時間の経過をどのように経験するかについて、あらゆる角度から研究しています。特に、ある活動では時間が速く流れ、別の活動では遅く流れるのはなぜか、また、人生の大きな変化が時間性にどのような影響を及ぼすかについて理解することに関心があります。

経歴

  • 2005年~現在 リバプール・ジョン・ムーア大学 上級講師(心理学)

Webサイト : https://www.ljmu.ac.uk/about-us/staff-profiles/faculty-of-health/school-of-psychology/ruth-ogden

Twitter : @ruthodgen_tp

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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