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衛星から地球へのレーザー通信で毎秒1,000Gbを達成し、これまでの記録を塗り替える

MIT リンカーン研究所のエンジニアがTeraByte InfraRed Delivery(TBIRD)システムにより、宇宙からのレーザーリンクによる通信の最速記録を更新したと発表した。

2022年5月に地球低軌道 (low Earth orbit、LEO) に打ち上げられたTBIRDペイロードは、光通信リンクを通じて、カリフォルニア州の地上受信機に最大で毎秒100ギガビットの速度でデータを送信した。この新記録は、従来の方法の約1,000倍の速さとなる。これは、宇宙との情報のやり取りが、この新しい技術によって飛躍的に改善されることを意味する。

従来の衛星通信に使われていた高周波リンクは、1秒間に0.1MBという速度だった。今回の、MITのエンジニアによる新技術は、従来の方法の1,000倍を実現している。ちなみに、SpaceX社の衛星インターネットサービス「Starlink」は平均20MBから100MBで、TBIRD方式にはまだ大きく及ばない。

TBIRDに使われている赤外線は、従来の電波とは大きく異なり、かなりタイトな波でデータを送るとのことだ。TBIRDは1パスあたり最大200ギガビットのデータを送ることができるため、電波との差は非常に大きいと言える。

今回、MITのエンジニアは、ティッシュボックスほどの大きさのTBIRDペイロードを、3つの入手しやすい部品を使うことで実現している。その部品とは、「光信号増幅器」「大容量高速ストレージドライブ」「高速光モデム」である。

TBIRD communications payload components
TBIRD衛星には、高速光モデム(上)、ストレージドライブ(左)、光増幅器(写真では見えない)が搭載されている (Credit: Lincoln Laboratory)

これらの部品は、放射線、衝撃、振動、熱真空などの試験を行い、宇宙で問題なく使えることが確認された物が用いられている。

大気を通る中で、データ損失も問題として考えられるが、研究室では独自にARQ(Automatic Repeat Request)を開発することで対処した。ARQとは、通信回線でデータを送信する際のエラーを制御するためのプロトコルである。ARQでは、受信機がどのフレームが正しく受信されたかをペイロードに伝える。これにより、ペイロードはどのフレームを再送信すればよいかを知ることができる。

One meter telescope
TBIRDミッションの地上局の一部であるNASAジェット推進研究所光通信望遠鏡研究所の1m望遠鏡 (Credit: NASA)

「私たちは、科学ミッションを支援するために、LEOから地球へ大量のデータを迅速にダウンリンクできる低コスト技術を実証することを目的としていました。運用開始からわずか数週間で、最大100ギガビット/秒という前例のない伝送速度を達成し、すでにこの目標を達成しています。次は、TBIRDシステムのさらなる機能を発揮し、毎秒200ギガビットまで速度を上げ、地上局を5分間通過する間にハイビジョン映画1000本分に相当する2テラバイト以上のデータをダウンリンクできるようにする予定です。」と、TBIRDペイロードと地上通信のプログラムマネージャーで、光・量子通信技術グループのアシスタントリーダーであるJade Wang氏は述べている。

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