TikTokはForbesの取材の中で、米国の一部の従業員が「有名人や若手クリエイターをTikTokコミュニティに紹介するため」に動画を“ブースト”する事が出来る事を明らかにした。この事は、TikTokの“加熱”ボタンに関する報道の中で明らかになったもので、Forbesは、TikTokのスタッフは選択したビデオをユーザーのFor Youページに置くために使用でき、TikTokのアルゴリズムによらず、恣意的にユーザーに対してコンテンツを届けることを可能にするものであると指摘している。
TikTokの広報担当者であるJamie Favazza氏は、内部で“Heating(加熱)”と呼ばれているこの機能は特定の動画の再生回数を増やすことだけが目的ではないとForbesに語っている。TikTokによると、「コンテンツ体験の多様化に役立ついくつかの動画を促進する」とのことだ。Favazza氏はまた、TikTokがそれほど頻繁にこの“加熱”は行わず、「For Youフィードのビデオの0.002%」だけがブーストされていると主張している。
だが、Forbesが入手した内部文書である「MINT Heating Playbook」によると、「加熱機能とは、操作介入により動画をFor Youフィードにブーストし、一定の動画再生回数を達成することを指します。加熱された動画の総動画再生数は、1日の総動画再生数の1~2%程度と大きな割合を占めており、全体のコア指標に大きな影響を与えることがあります」とのことで、実態はFavazza氏の主張とは異なっている可能性がある。
また「MINT Heating Playbook」によると、この機能をうまく使えば、「少量の加熱」がクリエイターの成長を助け、プラットフォーム上でより多様なコンテンツが生まれることにつながるとしている。
この“加熱”が問題であるのは、加熱されたビデオには、広告やスポンサーの投稿のようにTikTokによってブーストされたことを示すラベルが付かないのだ。その代わり、アルゴリズムによって選択された他の動画と同じように表示されると言う。
ただし、これは両刃の剣でもあるだろう。TikTokの加熱に関する透明性の欠如により、どの動画が有機的にトップになったかを見分けるのが難しいため、自分の動画がブーストされている動画に比べてパフォーマンスが低いと、クリエイターはこのプラットフォームへの関心を失うかもしれない。
さらに、Forbesが接触した3つの情報源と内部文書によると、一部の従業員は、例えば自分の個人アカウントや個人的に知っている人のアカウントをブーストするなど、この加熱機能を不適切に使用したとのことだ。当然のことながらこれは会社のポリシーに反している。
この報道は、TikTokが、最近ショートから得た広告収入の一部を与えることでクリエイターを誘惑し始めたYouTubeや、InstagramがReelsのクリエイターに報酬を支払うことを推進しているなどのプラットフォームとの激しい競争に直面していることを意味している。
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