アメリカ国防総省(DoD)は、中国の急速な軍事化に対抗するため、ドローンのような自律型兵器を大量生産する計画を発表した。「Replicator(レプリケーター:複製者)」と呼ばれるこの新プログラムでは、米国は「小型で、スマートで、安価で、多数の」戦闘ユニットを「数千機」開発し、量産することに注力する。この構想は、AIを搭載した非搭乗型システムを使い、米国の技術革新を活用しながら中国軍に対抗することを目的としている。
“何千ものバトル・ドロイド”
スター・ウォーズの前日譚に登場するバトル・ドロイドにインスパイアされたかのような「レプリカント・プログラム」は、昨日(8月28日)ワシントンで開催された全米国防産業協会のエマージング・テクノロジー会議でKathleen Hicks米国防副長官によって発表された。この会議でHicks副長官は、中国が米国に与える最大の脅威は軍事力の “質量”だと指摘した。言い換えれば、中国が保有する艦船、航空機、人員の数である。彼女はまた、中国が反アクセスあるいは領域拒否能力において能力を高めていることを強調した。
「経済と製造業の基盤を動員する場合でも、アメリカの戦争勝利戦略が、敵対国との戦いに、船と船、あるいは銃弾と銃弾を撃ち合うことだけに頼っていることはほとんどない。結局のところ、われわれは一部の競争相手のように、国民を大砲の餌として使うことはないのです」と彼女は言う。そこで「レプリケーター」は、Hicks副長官が説明したように、「敵国を凌駕し、敵国を考え、敵国を戦略し、敵国を操縦することによって、敵国を凌駕する」米国の能力を継続し、それを基礎とすることを意図している。
既存の米軍システム調達と比較すると、「レプリカント」は「より安価に、より少ない人員で、より短いリードタイムで変更、更新、改良が可能」でああり、「我々は、PLAの大量生産に我々の大量生産で対抗するが、我々のものは計画しにくく、命中しにくく、打ち負かしにくいものになるだろう」と、Hicks氏は説明する。
彼女が“attritable”という言葉を用いている点も興味深い。これは、ロボットが十分に安価で、任務の優先順位が高ければ、危険を冒して紛失する可能性もあり得ることをペンタゴンが認めている事に外ならない。無人機ならなおさらだ。空軍では、作戦シナリオでシステムを失うことを厭わないことを暗示するのを避けるため、「attritable」の代わりに「amountable mass」を使用している。「レプリケーター」の場合、プラットフォームのコストを見積もることは現在のところ不可能である。しかし、重要な考慮事項には、手頃な価格、迅速な開発サイクル、大量生産が含まれる。
巨大な抑止力
自律システムに関してHicks氏は、「レプリカント」は「国防総省が10年以上にわたって世界をリードしてきた、AIと自律システムに対する責任ある倫理的なアプローチに沿って開発され、実戦投入される」と述べた。Hicks氏は、”attritable “コンセプトは経費を削減するだけでなく、より戦術的エッジに近いところでシステムの製造を可能にするという大きな利点があると指摘した。
「レプリケーター」がどのような種類のシステムを製造し、どのような任務を遂行するのかは、現在のところ不明である。しかし、これらの自律型システムは、既存のシステムをすぐに置き換えることを意図したものではないことに留意すべきである。むしろ、Hicks氏が強調したように、国防総省が戦争の準備と遂行にどのように取り組むかという長期的な変化を示すものである。
「我々は、中国指導部が毎日目を覚まし、侵略のリスクを検討し、今日がその日ではなく、今日だけではないという結論を出すようにしなければならない」とHicks氏は付け加えた。
Sources
コメントを残す