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日本でも、官公庁の印刷物に用いられる書体は「明朝体」を用いることが定められているが、外国も同様で、米国・国務省でも長らく「Times New Roman」という書体を用いることが定められていた。だが、それも時代の変遷に伴い、変わるようだ。今年の2月からは、従来の「Times New Roman」ではなく、「Calibri」を用いる事が強制されるようになるという。

Calibriは比較的新しい書体で、今世紀に入ってからオランダの書体デザイナーLucas de Grootによって開発された。2007年、Microsoft Wordのデフォルト書体としてTimes New Romanに代わり、今後ほとんどの文書が印刷物ではなくスクリーンで読まれるようになるとの認識から、この書体が採用された経緯がある。

米国国務省が標準書体をCalibriに定めたのは時代の変遷、技術への適応と言った側面がある。Antony Blinken国務長官は、「The Times (New Roman) are a-Changin」というメモで、Times New Romanが「光学式文字認識技術(OCR)やスクリーンリーダーを使っている障害者にとって、アクセシビリティの問題を引き起こすかもしれない」と述べ、この変更は文書をより使いやすくするためのものだと国務省の職員に伝えたとのことだ。

Times New Romanは、ストロークの端に小さな飾り(セリフ)のある書体(ローマン体ともいう)で、日本で言えば明朝体のような、筆で書いたような書体だ。対して、Calibriは、セリフのない書体(サンセリフ)で、日本で言えばゴシック体のような、文字幅が一定の書体である。

左がサンセリフ、右がローマン体。ローマン体は赤丸部分にセリフがある (Credit: Adobe)

Times New Romanのようなセリフ書体は、こと印刷物においては読者に対して読みやすさを提供するが、今回の変更はその点ではなく、先述したように、「OCRやスクリーンリーダー」などへの配慮からだという。

「この新しいフォントの変更により、同省の文書製品やコミュニケーションはより利用しやすくなります。これは、Blinken長官の障害者に対する味方を示すものであり、障害を持つ従業員に対する彼のサポートを強調するものです。」と、広報担当者は述べている。

「さらに、この変更は、障害者インクルージョンの価値とメッセージが、特定の月や期間に限定されるものではなく、一年中追求されるべきものであることを強調しています。」と、付け加えた。

書体の変更に関しては、「この書体には強い支持者と穏やかな反対者の両方がいる」と、ある職員が述べているように、やはり、書体が与える見た目の影響は大きく、様々な意見があるようだ。

特に、Calibriの欠点についての指摘もある。アクセシビリティに関する助言を行う David Berman CommunicationsのプリンシパルであるDavid Berman氏は、The New York Timesに対して、ほとんどの人が気づかないような細かい点が、Calibriを理想的とは言えないものにしていると指摘した。「大文字のIと小文字のLは同じに見える。小文字のiはドットの間隔を大きくして、よりはっきりさせるべき。カンマとピリオドはもっと大きくした方がいい。小文字のaとgは、多くの人が習う書き方とは違う形をしている」、等々。

また、フォントの大きさについても議論されている。そんな細かいこともかと思うが、視力の悪い人には大きなフォントが適するが、大きなフォントを用いることは、印刷に多くの紙が必要であったり、画面に表示できる文字数が少なかったりと、トレードオフの関係があるのだ。

最終的には、14~16ポイントの間で落ち着くだろうとのこと。だが、より良い解決策は、人々が自分のニーズに合わせてフォントを適応させる能力を確保することだろうと、Berman氏はThe New York Timesに語っている。


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