昨年のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げで、宇宙望遠鏡が注目されているが、宇宙科学の主力は地上観測所であり、そこで近年人工衛星の増加が大きな問題になってきている。
具体的には、電波、光学、赤外線など、さまざまな形で人工衛星が観測の邪魔をするのだ。全米科学財団(NSF)の声明によると、これらの問題を軽減するために、NSFと、急成長中のインターネット衛星ネットワーク「Starlink」を運営するSpaceXは、ますます混雑する夜空で天文学者への干渉を減らすことを目指す合意に達した。
地球近傍天体や遠方の星、星雲、銀河の地上観測には、夜空が汚染されていない遠隔地が必要だが、光学レンズで数秒から数分かけて光を集め、画像を生成するのに十分な遠方の光を蓄積するため、長い露光時間も必要である。
通過する衛星がこの観測フィールドを横切ると、人間の観測者には動く光の一点に見えるものが、望遠鏡には空を横切る線となり、天文学者が撮影しようとした画像が台無しになる。
これを軽減するために、SpaceXはすでに第2世代のStarlink衛星の再設計に着手しており、ソーラーアレイの緩和、誘電体ミラーフィルム、衛星の新しい種類の黒い塗料を使用して輝度を下げることを目指しているという。
SpaceXはまた、NSFの施設が観測機器の視界を鮮明にするために使用しているレーザーが、実際に衛星の運用にどの程度影響を及ぼすか、もしあるとすれば、それを調べることにも同意した。Starlink衛星が近くにある場合、観測所はレーザーをオフにしていたが、今後はその必要がなくなるという。
SpaceXは、電波天文学者だけでなく、光学天文学者の懸念にも対応している。Starlink衛星は、電波天文学で使われる帯域に非常に近い電波を使うため、同社は多くの調整努力に合意している。さらに同社は、ニューメキシコ州のVery Large Arrayとウェストバージニア州のGreen Bank Observatoryの近くに設置されるStarlink端末の影響を調査することに同意している。
また、SpaceXとNSFは、Starlinkの衛星群がさらに大きくなるにつれて新たな問題が発生するため、今後より緊密に協力して天文コミュニティの懸念に対処することに合意した。
NSFのSethuraman Panchanathan長官は声明の中で、「我々は、重要な科学研究が衛星通信とともに発展することを可能にする、商業と公共の努力の間の成功したパートナーシップの舞台を整えている」と述べている。
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