Qualcomm(クアルコム)のフラッグシップ・モバイルコンピューティング・プラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 2」の発表が本日行われたが、ライバルとなる先日発表されたMediaTekの「Dimensity 9200」と比較してみよう。
- Qualcomm: Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platforms
- MediaTek: Dimensity 9200
両コンピューティング・プラットフォームは、TSMCの4nmプロセスを採用し、Armの次世代アーキテクチャ、Armv9命令セット、トリプルクラスターコンピューティング構成の合計8コアを搭載して設計されている。ちなみに、MediaTekに関しては、第2世代の4nmプロセスである事を明かしているが、Qualcommは明言していない。
Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 | MediaTek Dimensity 9200 | |
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CPU構成 | • Cortex-X3 @ 3.19GHz x 1 • Cortex-A715 @ 2.8GHz x 2 • Cortex-A710 @ 2.8GHz x 2 • Cortex-A510 @ 2.0GHz x 3 | • Cortex-X3 @ 3.05GHz x1 • Cortex-A715 @ 2.85GHz x3 • Cortex-A510 @ 1.8GHz X4 |
CPUビット | 64ビット及び32ビット対応 | 64ビットのみ |
GPU | Adreno 740 (ハードウェアレイトレーシング対応) | Arm Mali-G715 Immortalis MC11 (ハードウェアレイトレーシング対応) |
DSP | Hexagon (スカラー、テンソル、ベクトルの融合) 混合精度INT8/INT16 INT4サポート support | APU 6.0 APU 690 |
ディスプレイ | • QHD+ 最大 144Hz, • 4K 最大 60Hz, | • Full HD+ 最大 240Hz • WHQD 最大 144Hz • 5K (2.5Kx2) 最大 60Hz |
対応RAM | LPDDR5X(最大8400Mbps) | LPDDR5X (最大:8533Mbps) |
カメラサポート | • 200MP シングルショット • 108MP シングルショット(連続撮影対応) • 64MP+36MP (連続撮影対応) •トリプル36MP (連続撮影対応) • ハイブリッドAF • 10ビット HEIF 画像キャプチャ • HDRビデオ撮影 • マルチフレーム ノイズ リダクション •リアルタイム オブジェクト分類、セグメンテーション、および置換 • 超解像ビデオ撮影 | MediaTek Imagiq 890 • 320MP シングルショット |
動画撮影 | • 8K @ 30fps (HDR) • 4K UHD @ 120fps • 720p @ 960fps | • 8K @ 30fps • 4K UHD @ 60fps |
動画再生 | • 8K 最大60fps • 4K HDR 最大120fps • AV1, H.265 及び VP9ビデオデコーダー • 360度ビデオ | • AV1, H.265 及び VP9ビデオデコーダー |
充電 | Quick Charge 5 | – |
4G/5G モデム | • X70 LTE/5G (統合) • 下り最大:10,000Mbps • 上り最大:3,500Mbps | • Helio M80 アーキテクチャ サブ6GHz ミリ波 |
その他ネットワーク性能 | • Bluetooth 5.3 • Wi-Fi 7, Wi-Fi 6/6E (802.11ax), Wi-Fi 5 (802.11ac), 802.11a/b/g/n | • Bluetooth 5.3 • Wi-Fi 7, Wi-Fi 6/6E (802.11ax), Wi-Fi 5 (802.11ac), 802.11a/b/g/n |
製造プロセス | • TSMC 4nm (N4?) | • TSMC 4nm (N4P) |
Snapdragon 8 Gen 2はArmのセミカスタム設計を採用し、Arm Cortex-X3 CPUをカスタムチューニングして動作クロックを3.19GHzに向上させ、従来設計よりも動作クロックを向上させている。パフォーマンスコアは4、動作クロックは2.8GHzのままで、総コア数は8コアのままだ。だが、Snapdragon 8 Gen 2は、32ビットサポートのために、あえて旧世代のCortex-A710を2コア残している。
9200に関しては、コア数や動作クロックを調整することで、Arm設計とほぼ同様だ。
Qualcommは、最適化によりエネルギー効率を40%上げていると述べていることから、TSMCの第2世代4nmプロセスを採用したと仮定すると、エネルギー効率の高いコアを3つにし、その動作クロックを上げることで、スマートフォンの運用で通常必要となる演算性能に対応し、さらに動作クロックの高いメインコアに演算性能を集中させ、4コアをパフォーマンスコアとして維持し、演算性能向上に繋がると考えているように思われる。
MediaTekの取る路線は、主にこれまでの構成を踏襲したもので、今年はArmの新しいアーキテクチャ設計で、Qualcommのものとは明らかに異なる。
ディスプレイ側では、Qualcommは次世代のAdreno GPUを、MediaTekはArmのImmortalis-G715 GPUデザインを採用しているが、どちらもハードウェアレベルでのリアルタイムレイトレーシングと可変レートレンダリングをサポートし、さらにお互いのSnapdragon AIEとAPUデザインを組み合わせて、人工知能コンピューティングを加速させることが可能だ。このAPUは、互いのSnapdragon AIEとAPUの設計を組み合わせることで、人工知能を加速させることも可能となる。
さらに今年、MediaTekはついにDimensity 9200にサブ6GHz帯とミリ波接続の両方を採用し、Wi-Fi 7とBluetooth 5.3接続も追加し、無線接続アプリケーションの性能が市場ニーズのほとんどを満たすことができるようになった。QualcommとMediaTekの両社は、5G接続のための調整を重ね、5G接続の端末の使用時間を長くできるようにしたが、総合的な接続速度では依然としてQualcommが優位に立っている。
また、より柔軟なカメラレンズ構成が可能で有機ELディスプレイの経年劣化補正技術に対応したSnapdragon 8 Gen 2や、チップレベルのブルーライトフィルタリングで最大3億2000万画素に対応するDimensity 9200など、具体的な設計内容にも違いがある。
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