Samsung ElectronicsおよびWestern Digitalは、クラウドやサーバーインフラにおける次世代ストレージ技術の採用の促進に向けて、協業すると発表した。
Samsung : Press Release
Western Digital : Press Release
両社は、ストレージにおける次世代のデータ配置、処理、ファブリック(Data Placement, Processing and Fabrics、以下D2PF)ストレージ技術の標準化と普及を促進するために協業を行う事としている。
Zoned namespaces(ZNS)ストレージテクノロジーは、次世代のSSDとHDDのパフォーマンス、信頼性を飛躍的に向上させる技術として期待されているが、ZNSの採用は中々進んでいない。今回、ZNS SSD及びHDDの開発を簡素化するために、両社は覚え書き(MOU)を締結したとしている。
既に両社は、近年「Zoned Namespaces(ZNS)SSD」を発表しているが、これまでと実装が異なり動作も異なるため、広く採用されてこなかった。また、Zoned Storage Technologyの円滑に相互運用可能なエコシステムも完全に存在していないため、適切なドライブを展開することが困難でもあった。更に、ZNSドライブは特定のメーカーしか開発を行っていないため、あるメーカーからZNS SSDを購入する場合、基本的に独占的な供給契約を締結する必要があるという。
ZNS SSDは、従来のブロックベースのドライブに比べて多くの利点を提供する。まず、ソフトウェアが処理内容を理解しているため、データをゾーンに順番に配置し、ライトアンプリフィケーションをより適切に制御できる。その結果、ZNS SSDは、従来のエンタープライズドライブが最近行っているように、オーバープロビジョニングのために多くの3D NANDを割り当てる必要がなく、最終的にはコストと消費電力の削減につながる。さらに、これにより、QLC 3D NANDなどの新しいNANDアーキテクチャの使用が簡素化される。
次に、ZNSは大量の4KBブロックではなく大きなゾーンを管理し、従来のSSDほど頻繁にガベージコレクションを実行する必要がないため、実際の読み取りと書き込みのパフォーマンスが向上するという。同じ理由で、ZNSソフトウェア環境でシングル磁気記録(SMR)ハードドライブを管理する方が簡単となる。
しかし、実はソフトウェアがZNSの導入を妨げる要因ともなっている。SamsungとWestern Digitalの両方がZNSソフトウェア開発に参加しているが、両社は現在、参加者が少なく、相互運用可能で予測どおりに機能するソフトウェアとハードウェアのタイムリーな可用性を保証するエコシステムの開発を試みたいと考えているようだ。
MOUの条件の下で、SamsungとWestern Digitalは共同で標準化し、次世代のデータ配置、処理、およびファブリック(D2PF)ストレージテクノロジーの採用を推進する。両社は、次世代Zoned Storage Technologyおよびオープンでスケーラブルなデータセンター・アーキテクチャのためのハイレベル・モデルおよびフレームワークを定義するとしている。また、2021年12月には、SamsungとWestern DigitalはZoned Storage TWG(Technical Work Group)を結成し、Zoned Storage Deviceのユースケースや、ホスト/デバイスのアーキテクチャ、プログラミングモデルの形成と仕様の策定を進めている。
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