韓国の経済紙Seoul Economic Dailyは、生成AI特需を受け、Samsungが自社開発のAIアクセラレータ「Mach-1」を開発中であり、これを2025年にも発売する予定であることを報じている。これはもちろん、現在のNVIDIAの独占状態を切り崩す事を意図した物で、世界最大の半導体企業として返り咲くことを目指す同社の野望の一環のようだ。
この情報は、Samsung Electronicsの株主総会の席で、Samsung SemiconductorのCEOであるKye Hyun Kyung氏の口から語られた。彼は、「専門研究室が全く新しいタイプの半導体、つまり将来のAGIの処理要件を満たすように設計された半導体の開発に取り組んでいる」と述べたという。
FPGAによるチップの技術検証はすでに完了しており、SoC設計も進行中とのことだ。このチップは今年末までに生産が開始され、このチップを使用したAIシステムは来年早々に利用可能となる予定だという。
Mach-1はAI推論に適している。現在、AIの推論で問題となっているのは、GPU、CPU、メモリ間のデータ転送の間にボトルネックがあることだ。Mach-1は、データ転送速度のボトルネックを現在の1/8に低減できる、これまでにない構造を持つという。また、HBMだけに依存することなく、LPDDRメモリを使用できる軽量AIチップとなる。
基本的にMicrosoftやMeta、Amazon、Googleなどの大手テック企業は、AIインフラの構築の大部分をNVIDIAのH100などのGPUに依存している。だが、これらの企業は独自のAIチップも開発しており、NVIDIAの一強を良しとせず、AMDがInstinct MI300チップの大量出荷を開始することや、OpenAIも安定したAIチップの供給に向けた投資を募っていることが報じられるなど、現在の市場の不安定さを打開しようとする動きが起き始めている。Samsungという新たなプレイヤーの参入はまたそこに一石を投じそうだ。
Samsungは最近、AI半導体を開発するため、米国シリコンバレーに人工知能(AGI)研究所を設立したが、その成果が少しずつ見えてくるかも知れない。
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