本日開催されたイベント「System LSI Tech Day 2023」において、Samsungはいくつかの新しい半導体技術とチップを発表した。多くの製品はそこまで一般消費者の注目を集めるものではないが、1つだけ非常に重要で、多くのGalaxyユーザーにとって興味を引く物があった。それが、「Exynos 2400」である。これはSamsungの次世代フラッグシップ・スマートフォン向けSoCであり、2022年に発売されGalaxy S22に搭載されてデビューしたExynos 2200の後継となる。
CPU性能は70%向上、RDNA3 GPUも搭載
Exynos 2400は、Samsungによれば、Exynos 2400はExynos 2200より70%高速なCPU性能と、AI処理能力に至っては、14.7倍もの高速化を果たしているという。また、GPUはAMDの最新のRDNA™ 3アーキテクチャに基づくXclipse 940 GPUも搭載しており、リアルタイムでのレイトレーシング能力が大幅に向上しているとのことだ。
同社はイベント中、ライブデモを通じてExynos 2400の大幅に改善されたレイトレーシング機能を披露した。グローバル・イルミネーション、より正確な反射、シャドウ・レンダリングなどのレイトレーシング技術により、ゲームのリアリズムが向上している。
桁違いのAI処理性能を誇る
AI機能に関して、Samsungは次期スマートフォン(おそらくGalaxy S24シリーズ)向けに設計された新しいAIツールを紹介した。Exynos 2400チップセットを使用したテキストから画像を生成するAIツールの実演では、実際のスマートフォンリファレンスボードが使用され、デバイス上での画像生成が可能であることが証明されている。
Samsung ElectronicsのYong-In Park社長兼システムLSI事業部長は、「生成AIは、おそらく今年の最も重要なトレンドとして急速に浮上しており、データを処理し、AIに命を吹き込むために、より強力な基盤技術を要求しています。私たちは、強力な演算IP、接続ソリューションから人間の主要な五感をエミュレートするセンサーまで、幅広いロジック半導体の能力をシームレスに統合したSamsungシステムLSIヒューマノイドプラットフォームを活用し、プロアクティブAIの新時代に向けた道を切り開いています」と、述べている。
その他、同社の次世代5Gモデムは、NB-IoT(Narrowband Internet of Things)NTN(非地上ネットワーク)技術と互換性があり、スマートフォンに衛星通信を提供する。SamsungはSkylo Technologiesと共同でこの機能のビデオを公開した。これは、Galaxy S24シリーズでの緊急メッセージ用の双方向衛星通信を示唆するものだろう。Exynos 2400の詳細については、近日中に発表される予定である。
ちなみに、リーカーのRevegnus氏によるベンチマークテストのリークによると、Exynos 2400の性能はQualcommの2022年発売のSnapdragon 8 Gen 2に比べて少し劣る性能のようだ。ただし、Galaxy S24シリーズは2024年第1四半期まで発売されないと予想されているため、これはまだ最適化中の検証プラットフォームである可能性がある。
Anyplace Zoomは完全なカメラズーム体験をもたらすことを目指す
また、Samsungは200万画素のイメージセンサーに基づくZoom Anyplace技術も初めて公開した。このセンサー革新により、モバイルユーザーは動くオブジェクトに対して最大4倍のクローズアップを行い、画像の劣化なく撮影することができる。Samsungのスマートフォンには常にシャッタータイムラグの問題があったが、この技術がその改善に役立つのであれば、大きなステップアップとなるだろう。また、AIベースのトラッキング技術により、対象物を自動追尾して撮影すると同時に動画も撮影するため、瞬間やディテールを逃すことがない。
さらに、2025年に量産が予定されている最新の自動車用プロセッサー、Exynos Auto V920も展示された。車載用チップ「Exynos Auto V920」は、コネクテッドカーの複数のスクリーンで複数のアプリケーションを実行できる10コア・プロセッサーである。
また、新しいビジョンセンサーブランドISOCELL Vizion、およびSmart Healthプロセッサーが発表された。
※2023年10月5日17時30分ベンチマークテストのリーク情報を追記
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