Samsungは、5nmクラスのプロセス技術を使用して構築されたコントローラを使用し、第7世代(176層)3D NANDを採用したデスクトップ用SSDの新製品「PM9C1a」を発表した。同社によると、新しいSSDコントローラでは消費電力が大幅に削減されており、これにより、ドライブ全体の消費電力も低減することができたという。
PM9C1aファミリーは、PCIe 4接続でNVMeインターフェイスを備えたM.2フォーマットのドライブで、OEM向けとなる。Samsungの3D NANDの呼称であるV-NANDを搭載しており、デスクトップ/ノートPC向けSSDのメインストリーム製品となっている。
メモリソリューションプロダクト&デベロップメント担当EVPのYong Ho Song氏は、次のように述べている。「当社の新しいPM9C1a SSDは、PCユーザーにとって最も重要な品質である、優れた性能、より高い電力効率、セキュリティの向上を強固に組み合わせて実現します。」
性能面では、SamsungのPM9C1aは、PCIe 4.0 x4インターフェイスを備えたメインストリーム向けドライブとしてはかなり良好な最大6GB/sのシーケンシャルリード速度と最大5.60GB/sのシーケンシャルライト速度を提供する。また、ランダム読込IOPSは最大90万、ランダム書込IOPSは最大100万である。このストレージデバイスは、256GB、512GB、1TBの構成、およびM.2-2230、M.2-2242、M.2-2280のフォームファクタが用意されており、さまざまなデザインのノートパソコンのニーズを満たすことができる。Samsungによると、「以前のストレージ製品 (PM9B1) よりも 1.6 倍速いシーケンシャルリード速度と 1.8 倍速いシーケンシャルライト速度を誇っています」とのことだ。
5nmベースのコントローラは、新しいPM9C1aドライブの最も興味深い特長の1つだ。Samsungの新しいコントローラは、同社の5nmクラスのノードを使用して作られており、先行製品や、より旧プロセス技術を使用した競合製品よりもかなり電力効率が高いと言われている。実際、最新のSSDに用いられているコントローラの大半は12nmクラスの製造技術で実装されており、5nmクラスのノードを採用することは、消費電力削減のためにかなり積極的な動きとなる。同社によれば、新しいPM9C1aドライブは、先代のPM9B1に比べて「1Wあたりの電力効率が最大70%向上」し、アイドルモードでは約10%の消費電力削減を実現しているという。ただし、具体的な数値については公開されていない。
Samsungは、DRAMレスSSD向けのコントローラの仕様のすべてをまだ公開していないが、同社のV-NANDメモリの最新タイプ(おそらく3D TLCと3D QLCの両方のバリエーション)を処理し、高度な信号処理、エラー訂正、暗号化技術をサポートすることはもちろん可能だろう。特に、コンピューティングセキュリティのオープンスタンダードを開発する世界的な組織TCG(Trusted Computing Group)が策定したセキュリティ規格「DICE(Device Identifier Composition Engine)」に対応した事は大きい。DICEは、SSD内部で暗号鍵を安全に生成し、サプライチェーン攻撃(サプライヤーのネットワークの脆弱性を突いて企業を狙うサイバー攻撃)から守るための機器認証と、ファームウェアの改ざんを防ぐための認証を提供する。DICEのサポートは、PM9C1aのターゲット市場であるPCのOEMメーカーにとって特に有益なものだろう。
Ho Song氏は、「当社の新しいPM9C1a SSDは、PCユーザーにとって最も重要な品質である、優れたパフォーマンス、より高い電力効率、およびセキュリティの強化を強固に組み合わせて実現します。私たちは、PC用SSDの分野でイノベーションを進めながら、多様に変化する市場の要求を満たすストレージを創造することに全力を注いでいます。」と述べている。
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