ダイエット効果が高いトレーニングとして近年注目を浴びている、高強度インターバルトレーニング:HIIT(High intensity interval training)だが、新たな研究によると、記憶の形成と保持の改善を促すことが確認されたとのことだ。
HIITを6ヶ月継続した学生達は心肺機能、筋力、ワーキングメモリの改善が見られた
Psychophysiology誌に掲載されたこの研究では、青少年を対象に6ヶ月間の身体的活動介入を伴う調査を実施したところ、左海馬の代謝が増加したことが明らかになったという。
「私の研究の主な焦点は、学校を基盤とした身体活動介入の設計、評価、普及です。また、第二の関心領域は、若者のメンタルヘルスと認知に対する身体活動の効果とメカニズムの研究です。テストの成績、認知機能、教室でのオンタスク行動など、学業成績に対する身体活動の効果を示す証拠を提供することは、学校が若者に追加の活動を提供するための強い推進力となることを発見しました。」と、オーストラリアのニューカッスル大学の教授で、この論文の筆頭著者であるDavid Lubans氏は述べている。
この研究では、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にある4つの中学校に通う56人の年長の青年を調査し、Burn 2 Learn(B2L)介入群と対照群(運動介入を行わない群)に無作為に振り分けた。B2L介入群では、16週間にわたり、週に最低2回の高強度インターバルトレーニングが行われた。トレーニングは、8分から20分の間で、有酸素運動と自重によるレジスタンス運動を組み合わせたものだ。
参加者は、運動による神経の変化を評価するために、16週間の期間の前後に脳のスキャンが行われた。研究者は磁気共鳴分光法を用いて、海馬の脳内代謝物濃度の変化を特定した。
研究者らは、対照群と比較して、B2L介入群は、脳代謝活性の2つのマーカーであるN-acetylaspartate(NAA)とglutamate+glutamine(Glx)の左海馬濃度が増加する傾向があることを観察した。さらに、これらの海馬の変化は、心肺機能、筋力、ワーキングメモリーの改善と関連していた。
この結果は、「比較的短時間に激しい運動強度の身体活動に参加すると、年長の青少年の脳の成長をシミュレートできるようです」とLubans氏は語っている。
この新しい研究は、700人近くの学生を対象とした大規模な研究の一部だ。以前のデータ分析では、研究開始時に体重過多または肥満と分類された参加者において、高強度インターバルトレーニングが知覚ストレスおよび内面化問題の軽減につながったという証拠が発見されている。
しかし、Lubans氏は、この研究は「比較的新しい研究分野」であり、「まだ答えが出ていない問題がたくさんある」と指摘する。例えば、「青年期の海馬の代謝を刺激するために必要な最小限の運動量とはどの程度なのか。」と言った問題はまだ解明されていない。
「今後の研究では、これらの知見を再現し、心肺機能や筋力の変化が海馬の代謝物濃度の変化を媒介するかどうか、また、代謝物濃度がワーキングメモリに対する身体活動の効果を媒介するかどうかを調査するために、より大きなサンプルサイズを採用すべきです。」と彼は付け加えている。
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