Bloombergの報道によると、Appleが長年に渡って「タッチスクリーンをMacに搭載する事はあり得ない」としてきた方針を転換し、将来のMacBook Proの更新にタッチスクリーンを追加する可能性があると報じている。
このレポートによると、Appleのハードウェアエンジニアは「このプロジェクトに積極的に取り組んでおり」、同社はこの動きを「真剣に検討している」そうだが、2025年のタッチスクリーンMacの発売前に「計画が変わる可能性」もあるという。そして、もちろん今年発売されるであろうM2 MacBook Pro 14/16インチでは期待しない方がいいだろうとも。
ただし、Appleが社内でMacのタッチスクリーンをテストしたのは今回が初めてではない。実際、過去10年以上にわたり、AppleはタッチスクリーンMacをテストしていることについては複数の幹部が公言していた。だがこれは、タッチスクリーンMacについて否定するための物であり、実際にこれまでも実現されてこなかった。
2010年、当時のAppleのCEOであったSteve Jobsは、Macのタッチパッドに注力する理由について、「我々はこれに関して大量のユーザーテストを行ったが、うまくいかないことが判明した。タッチパネルは垂直であることを望んでいない。タッチパネルは水平がいいんだ。素晴らしいデモができるけど、短時間で疲れるし、長時間だと腕を落としたくなる。人間工学的にも最悪だ。」と述べている。
「トースターと冷蔵庫を収束させることはできますが、それらはユーザーにとって喜ばしいことではありません。MacBook Airは、異なる要件を持つ人にアピールするものだと思います。これらを一緒にしたいとは思わないでしょう。」と、MicrosoftがWindows 8のコンバーチブルでPCとタブレットを収束させようとしたことについて、2012年に現Apple CEOのTim Cookは述べている。
「正直なところ、正しいインターフェースだとは思っていません。Macは座って体験するものです。長年にわたり、私たちはあらゆるテクノロジーを試してきましたが、それは良いものではないことに気づきました…。私たちは作ることにそれほど興味がないんです。」と、AppleのソフトウェアエンジニアリングSVP、Craig Federighi氏は、最初の5K 27インチiMacが発売された2014年にそう述べている。
「もし私たちがノートの画面でマルチタッチをするとしたら、それだけでは不十分で、それではデスクトップはそのように機能しないでしょう。私たちのチームは、何年にもわたって何度もこの問題に取り組みました。私たちは絶対に、それは正しいことではないという信念を持って臨みました。」と、AppleのPhil Schiller氏は2016年のインタビューで語っている。
こういった発言が過去に行われてきており、そしてその当事者であるAppleのエンジニアや上層部はまだAppleに残っているわけだが、これらを覆すほどの大きな技術的革新があったのだろうか。実際、10年以上前から望まれていたタッチスクリーンの搭載について、搭載を望む圧力があったとは言え10年以上も姿勢が変わらなかったことを考えると、同社が圧力に屈したとは考えにくい。
もしAppleが長年の姿勢を改め、Macにタッチスクリーンを追加しても、iPadとMacのオペレーティングシステムが統合されることはないだろう、とBloombergは述べている。しかし、タッチスクリーンはマルチタッチジェスチャーをサポートし、おそらくAppleシリコンMacでiOSやiPadOSのアプリケーションやゲームを実行している人々にとって便利なものになるだろう。
AppleがこれまでMacにタッチスクリーンを搭載する動きで1番それらしい物だったのは、2016年に一部のMacBook Proのキーボードのファンクションキーに代わって登場した横長の帯状のスクリーン、Touch Barだ。Touch Barは、使用しているアプリに応じて動的に内容を変更することができたが、この技術を効果的に利用するサードパーティデベロッパーはほとんどなく、ユーザーからも分かりにくいとして不評だった。Appleは最近のリフレッシュでTouch Barを元のファンクションキー列に置き換えており、13インチのMacBook ProはAppleが現行ノートPCの中で唯一、Touch Barを搭載している。
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