汎用人工知能(AGI)という言葉を世に広めたコンピューター科学者は、早ければ2027年にもAGIが実現すると考えている。
「分散型、民主的、包括的で有益な人工知能」の実現を目指すSingularityNETを設立したBen Goertzel氏は、有益AGIサミット2024で講演を行った。講演の中で彼は、人工知能(AI)が自らを改善することができる地点に到達する可能性があると聴衆に語った。
そのような時点ははるか先のことのように思われるかもしれないが、彼はそれが急速に起こりうると考える理由をいくつか挙げている。Goertzel氏によれば、その理由は、私たちが直線的な成長ではなく指数関数的な成長の時代にあり、変化のスピードを理解するのが難しいからだという。
「今後10年か20年で、1台のコンピュータが2029年か2030年までに人間の脳とほぼ同じ計算能力を持つようになると思われます。そして、さらに10年、15年という歳月をかければ、1台のコンピュータが人類社会全体の計算能力を持つことになるでしょう」。
Goertzel氏は、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)がAIの可能性に世界を目覚めさせたとしているが、LLM自体がAGIへの道だとは考えていない。LLMは世界の真の理解を示すものではなく、少し賢いオートコンプリートのようなものだからだ。
だが彼は、LLMが彼の会社自身のOpenCog Hyperonにおいて、人類がシンギュラリティに向かうためのAGIの構成要素になる可能性があると考えている。
「Hyperonシステムにできることの1つは、ソフトウェア・コードの設計と記述である。Hyperonは、この能力をより深い創造性とより有能な多段階推論で補強するように設計されている。いったん、自分自身を改良し、次のバージョンを書くのに十分なコードを設計し、書くことができるシステムができれば、私たちは完全な知能の爆発と技術的特異点につながる可能性のある領域に入る」とGoertzel氏はarXivに投稿した未審査のプレプリント論文に書いている。
Goertzel氏は、このことに興奮すると同時に懸念も抱いている。パンドラを箱から出す前に、適切な安全措置を講じる必要がある。もしシンギュラリティがGoertzel氏をはじめとするコンピューター科学者たちが考えているほど近いものだとしたら(それはまだ巨大な “もしも “の話だが)、私たちは物事を迅速に正しく進めなければならないという大きなプレッシャーにさらされていることになる。
「私の考えでは、人間レベルのAGIに到達すれば、AGIが自らの保守主義から自らの開発を抑制すると脅さない限り、数年以内には根本的に超人的なAGIに到達できるだろう」と、彼は述べている。
「AGIが自分の心を内省できるようになれば、人間か超人レベルの工学や科学ができるようになると思います。より賢いAGIを作り、さらに賢いAGIを作ることができるはずです。そうなれば、(コンピューター科学者のRay Kurzweilが)考えていた以上の指数関数的な速度が上がるかもしれません」。
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