OpenAIは欧州における事業の拡大を続けている。同社はアイルランドのダブリンに新オフィスを開設し求人を開始した。その目的は、アイルランド政府と協力し、国家AI戦略を支援し、産業界や新興企業と連携することだ。
同社は、今年6月にロンドンオフィスを開設し、新たな研究の実施とエンジニアリング能力の強化に注力している。また、欧州連合(EU)がAIを規制する方向にあることから、この研究所の設立によって、政策立案者の近くに拠点を構えるという意味合いもあるだろう。
同社がアイルランドを選んだ理由は、アイルランドにはすでに強力なテクノロジーと新興企業のエコシステムがあるからだという。ダブリン、コーク、ゴールウェイ、リムリックなどの都市は近年目覚ましい成長と発展を遂げていると同社は述べている。ダブリンには、グーグル、メタ、ツイッター、リンクトインなど他の大手テクノロジー企業の本拠地も多い。
OpenAIのCEOであるSam Altman氏は、「アイルランドは優秀な労働力と、技術革新と責任ある事業成長への支援を融合させています。欧州での事業拡大に向けて、このパートナーシップに期待しています」と、述べている。
非営利の研究所からスタートアップに転身したこの企業の拡大は、CEOのSam Altman氏が世界各地を視察し、訪問先でいくつかの国のリーダーに会った後に実現した。OpenAIは現在、世界各地に3つのオフィスを構え、本社は米国サンフランシスコにある。
アイルランド政府のSimon Coveney企業・貿易・雇用担当大臣は「アイルランドで活動するOpenAIのような企業は、新たなAIの研究とイノベーションを支援し、アイルランドの労働力が十分に準備されるようにするための基盤を築くのに役立つと確信しています」と述べた。
OpenAIのJason Kwon最高戦略責任者(CIO)はReutersの取材に対し、同社は規模を拡大する前にまず新オフィスで「企業文化を確立」させたいため、あまり急がず、慎重に成長したいと語った。ダブリンにオフィスを開設する動機は、OpenAIがまだ利益を出していないため、税金が安いというメリットを享受するためではないという。ちなみに、先述のロンドンオフィスが位置する英国や今回のアイルランドは米国よりも法人税が安い。
Altman氏は、今年4月に岸田文雄首相と会談し、日本でのサービス拡大について話し合っている。同社の次の新たなオフィスは日本になるかも知れない。
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