チップ製造用シリコンウェハー世界最大級のサプライヤーであるGlobal Wafersは、テキサス州にシリコンウェハー工場を建設する計画を明らかにした。Intel、Samsung、TSMCが米国で複数の半導体製造施設を新設するのに先立ち発表したもので、新工場の建設費は50億ドルとなっている。
サプライチェーンの現地化が加速
テキサス州シャーマンに建設される新工場は、複数段階に分けて建設され、生産量は300mmウェハーで月産120万枚に達する予定だ。この新工場は、米国内では最大、世界でも最大級のウェハー製造施設になるとのことだ。
同社は今年後半に新工場の建設を開始し、2023年から2024年にかけて稼働する、各チップメーカーが進めている米国の新半導体工場稼働よりも若干遅い2025年初頭の初生産を見込んでいる。現在、Global Wafersはすでにミズーリ州にウェハー生産施設を持っているが、今回発表された施設に比べるとはるかに規模が小さい。
チップ供給危機と台湾・韓国を中心としたグローバル半導体サプライチェーンの脆弱性から、米国に生産拠点を持つ複数のチップメーカー(Global Foundries、Intel、Samsung Foundry、Texas Instruments、TSMC)が現地生産能力を拡大することを余儀なくされている。しかし、現地でのチップ製造をサポートするためには、チップメーカーが新しい工場を持つだけでは不十分で、サプライチェーン全体が現地化される必要がある。例えば、ウェハーの基板はほとんどがアジアで生産されているが、高純度ガスなどの材料は日本が業界をリードしている。一方、これらを海外から米国に輸入するのはコストがかかり、さらにサプライチェーンが複雑になる。
Intel、Global Foundries、Samsung、Texas Instrumentsは、すでに米国内で巨大なファブを運営しており、現地サプライヤーもいるが、彼らが新たに建設するファブは、より多くのウェハーと原材料を必要とする。その結果、Global Wafersのような企業は、将来のチップ需要を支えるために行動し、かなり前例のない投資を行わなければならない。
今回のGlobal Wafersによる新工場の建設は、こうした需要に応えるために行われた先鞭とも言える物で、今後同様にチップ製造に関わるサプライチェーンの現地への工場建設が増加する可能性がある。
Global Wafersの社長Mark England氏はこうコメントしている
今回の発表は、米国および世界のチップ供給問題に対処するためのもう一つの重要なステップです。さらに、世界的なインセンティブ競争の場を均等にするため、間近に迫った米国CHIPS法の成立は、この種の半導体投資を継続的に確保する上で重要な役割を果たすことでしょう。 適切なレベルの連邦政府のインセンティブがあれば、シャーマンは、成長する米国半導体産業を完全にサポートする完全な半導体エコシステムに発展することができると私は想像しています。
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