青色発光ダイオードの発明により、2014年のノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏らが2022年11月に設立した核融合スタートアップBlue Laser Fusionは、2030年までの核融合建設を目指しているが、同社は既にSPARX(未来創生3号ファンド)、JAFCO(ジャフコV7投資事業有限責任組合、ジャフコSV7-S投資事業有限責任組合)をリードインベスターとする総額25,000,000ドル(約35億円)の資金調達を実施しているとのことだ。
核融合技術は、太陽で起きているプロセスを再現し、制御された方法で膨大なエネルギーを生成することを目指している。核分裂とは異なり、核融合は放射性廃棄物を生成しないため、地球だけでなく宇宙ミッションでも有望なエネルギー源となる。
核融合の点火を開始するためには、研究者たちは燃料を摂氏100万度以上に加熱しなければならない。しかし、主な課題は反応を持続させ、核融合の過程で消費される以上のエネルギーを作り出すことにある。
核融合を持続させる2つのアプローチ
原子力科学者は、核融合反応を持続させる試みにおいて、2つの主要なアプローチを用いてきた。ひとつは、プラズマ状態の燃料を強力な磁石でトーラスやドーナツ状に保持する磁気閉じ込めである。このアプローチはトカマク型原子炉の開発につながり、企業やベンチャーキャピタルが多く関与している。
もうひとつは、レーザーを使い、連続して発射する方法である。しかし、この方法の欠点は、大型の装置ではレーザーを連続発射できず、小型の装置では核融合燃料を点火するのに十分な高出力が得られないことである。そこでBlue Laser Fusionはここに参入する。
レーザーで核融合
青色発光ダイオード(LED)開発の先駆的業績でノーベル賞を受賞した中村氏は、半導体の専門知識を活用することで、核融合を実現する確実な道筋を作り、それを商業的に実行可能なベンチャーに変えられると確信している。
Blue Laser Fusionは現在特許を申請中であるため、このアプローチの正確な詳細はまだ明かされていない。
しかし、中村氏は速射レーザーの実現可能性に自信を持っており、10年後までには日本か米国に1ギガワットの発電炉を設立することを想定している。日本経済新聞が報じたように、同社はそのマイルストーンに先立ち、来年末までに日本で小規模の実験プラントを建設するつもりである。
Blue Laser Fusionは設立から数ヶ月の間に、米国やその他の国で十数件の特許を申請した。同社はまた、核融合炉の燃料として重水素の代わりにホウ素を検討している。同社の主張によれば、ホウ素を燃料として使用した場合、有害な中性子を発生させないため、より好ましい選択となる。
Blue Laser Fusionは、原子力発電所用タービンのメーカーである東芝エネルギーシステム&ソリューションや、金属加工サービスを提供するYUKIホールディングスなど、他の日本企業とも提携している。
2022年12月、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所は、核融合プロセスからより多くのエネルギーを生成するためにレーザーを使用する実証に成功した。とはいえ、この成果はほんの一瞬のことであり、Blue Laser Fusionは、核融合が実用化されるために、長期にわたって持続的な能力を実証する必要がある。
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