米航空宇宙局(NASA)は、8月29日に予定していたアルテミス1号の打ち上げ中止を発表した。原因はスペース・ローンチ・システム(SLS)のエンジン冷却問題とのことだ。
NASAはアルテミス1号の金曜日の打ち上げを目指している
NASAは、フロリダ州のケネディ宇宙センター(KSC)からSLSを打ち上げることに引き続き尽力している。この打ち上げは当初、米東部時間の午前8時33分に打ち上げられる予定だったが、NASAのエンジニアがロケットの4つのエンジンのうち1つを起動する準備で冷却に問題が見つかったため、予定時刻のほぼ直前に中止となった。
この不具合を受けて、NASA関係者は会見を開き、NASAはできるだけ早くロケットを打ち上げることを約束し、現在96時間のスケジュールで不具合を発見し修正し、金曜日の打ち上げに間に合わせることを説明した。
NASAの関係者は、チームが巨大なSLSロケットの燃料補給に一晩中費やした後、今日の中止の背後には2つの理由があると説明した。1つは、エンジン3が運転に必要な温度に達しなかったこと、もう1つは、ロケットの水素タンクのベントバルブが破損したことだ。水素はSLSの燃料で、極低温で保管されるため、推力を出すために高圧で燃料と液体酸素をいきなり流して燃焼させてダメージを与えないように、あらかじめエンジンは燃料とともに冷却されている。
会見の中で、NASAのJim Free副長官(探査地上システム担当)は、SLSに搭載された4つのエンジンのうち3つが、エンジン冷却の際に期待通りに動作したと説明した。エンジン1、2、4は、NASAが認めるエンジン冷却時の温度範囲である500ランキン前後になったが、エンジン4は「そこまでいっていない」と概要を説明した。
NASAは、東部標準時午前 6 時 33 分にエンジンの問題を最初に報告していた。
中間低温推進ステージへの液体酸素の充填とコアステージのタンクへの推進剤の補給が続く中、エンジニアはコアステージ下部のRS-25エンジンの1つ(エンジン3)を調整する問題のトラブルシューティングを行いました。打ち上げ制御装置は、エンジンを始動させるために適切な温度範囲にするために、コアステージタンクの圧力を高めて低温推進剤の一部をエンジンに流し、エンジンのコンディショニングを行います。エンジン3はブリードプロセスで適切にコンディショニングされておらず、エンジニアがトラブルシューティングを行っている。
エンジンを目的の温度に到達させるため、NASAのエンジニアは手順通りに流量をリセットしようとした。水素はその密度からSLSのタンクに押し込むためのポンプを必要とせず、単純に圧力の差で流れる。リセットするには、速い速度で流れているのを止めて、ゆっくりした速度で再始動させる必要があり、時間がかかる。
ロケットの製造を担当するボーイング社とエンジンの製造を担当するエアロジェット・ロケットダイン社のエンジニアも現場にいて、問題解決のためにNASAのフライトディレクターに解決策を提示し続けた。しかし、これらの努力は、今回失敗に終わった。
Free氏はまた、それ自体がエンジン側の問題ではなく、コア側の問題であることを明らかにした。これは、NASAがロケットからエンジンを取り外す必要がなくなるかもしれないということで、良いニュースだ。ここでいう「コア側」とは、ロケットからエンジンの燃焼室に燃料と酸化剤を運ぶ役割を持つ部分のことである。
これまで明らかにされた内容では、エンジン冷却問題はロケットに残された唯一の問題であり、その他に4インチと8インチのクイックディスコネクトアームに関する問題が今日のカウントダウンで解決されたようだ。
次の試みは、米国東部標準時夏時間(EDT)9月2日(金)12時48分頃、日本時間では2022年09月03日(土) 01:48に予定されている。この打ち上げが成功すれば、ミッションは39日間続き、10月11日にオリオンは海に沈む予定だ。もし、その時に打ち上げられなかったら、9月5日(月)に3回目の打ち上げが行われる予定となる。
コメントを残す