NASAは2週間ほど前、ボイジャー2号との交信を絶たれてしまった。7月に誤ったコマンドを実行したため、アンテナの向きが変化し、地球とは別の方向を向いてしまったのだ。だが、状況は改善され、NASAはボイジャー2号との交信が再び確立されたと発表した。
予想より数ヶ月早い通信再開
木星、土星、天王星、海王星を訪れ、ひとつの宇宙ミッションから間違いなく最も豊富な科学データの宝庫を持ち帰ったボイジャー2号は、太陽系外へと移動し続けている。その最盛期は過ぎ去ったかもしれないが、ヘリオポーズを通過して恒星間空間に到達した数少ない探査機の1つとして、そして現在、人類の作り出した中で2番目に遠い存在として、有益な情報を提供し続けている。
7月11日、ボイジャー2号に誤った指示が送られ、メインアンテナの向きが2度変わり、地球からのメッセージの送受信ができなくなった。ボイジャー2号では、こうした事態を想定して数カ月ごとにアライメントをリセットするようプログラムされているが、次のリセットは10月であり、そこまで待つのは望ましくないと考えられた。
8月2日、ジェット推進研究所(JPL)は、電波望遠鏡がボイジャー2号のキャリア信号を検出したと発表した。彼らはこれを “宇宙船の鼓動を聞くようなものだ”と言った。
キャリア信号の検出により、NASAはボイジャー2号がどこにいるのか、そしてまだ稼働していることを正確に知ることができた。アンテナの位置がずれているにもかかわらず、ボイジャー2号が電波を拾ってくれることを期待して、可能な限り強力な電波をボイジャー2号に照射することが発表された。当時、担当エンジニアはそれほど自信ようには述べておらず、実際には10月のリセットまで待つ事を覚悟しているようだった。
しかし、状況は変化した。NASAはボイジャー2号との通信を再開した事を明らかにした。
オーストラリアのキャンベラにあるNASAのディープ・スペース・ネットワーク施設は、ボイジャー2号に対して199億キロメートル以上離れた恒星間にも及ぶ”叫び声”に相当するものを送り、ボイジャー2号が向きを変え、アンテナを地球に向けるよう指示した。コマンドがボイジャーに届くまでには、光の速さでも18.5時間かかるため、ミッション・コントローラーがコマンドが機能したかどうかを知るまでに37時間かかった。
ボイジャー2号は、放射源からの電力が徐々に低下しているため、すべての観測機器を作動させ続ける能力を失っている。NASAは、レギュレーターの電源を切るという少々危険な方法で、2026年まですべての重要な機器を動かし続ける方法を試みている。
最終的に最後のひとつが故障し、人類の偉大な発明のひとつが失敗するまで、電力生産が低下するにつれて、機器はひとつずつ放棄されなければならなくなるが、その日までボイジャー2号は動き続けてくれるに違いない。
Sources
- Jet Propulsion Laboratory: NASA Mission Update: Voyager 2 Communications Pause
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