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Microsoftとパシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)の生成AIを活用した共同研究によって、リチウムイオンバッテリーに取って代わる可能性を持つ有望な新材料が発見された事が報告されている。

MicrosoftのAzure Quantum Elements サービスを使用して、数百万の潜在的な新しいバッテリー材料をわずか数個にまで絞り込み、その中の1つが既にプロトタイプの段階にあるとの事だ。

現在入手可能なバッテリーのほとんどはリチウムをベースとしており、発火しやすいなど安全性に問題があるため、ユーザーの間で大きな懸念となっている。

今回Microsoftらが発見した新材料は固体電解質であるため危険性が低く、基本的に破裂や火災を引き起こす可能性が低いという。事前の調査結果によれば、この素材はEV用充電池の需要が急増するにつれて入手が難しくなっているリチウムの使用量をなんと70%削減するのに役立つという。

だが、実用化に関してはまだ多くの作業とテストが必要だ。ただし、生成AIを活用することにより、研究プロセス全体を高速化出来る可能性について研究者らは今後の展望は明るいとみている。固体電解質に比べ、液体電解質はエネルギー伝導に関してはるかに効率的であることについて、科学者らは解決しようとしているところである。

PNNLの物理化学者でプログラム開発室ディレクターのKarl Mueller氏は「大きなポイントは、新しいアイデア、新しい材料にたどり着くまでのスピードです。このような加速を見ることができれば、この種の材料を見つけるには、これが将来の道だと私は思います」と、述べている。

研究者らは、生成AIを用いることで試験段階全体を通して、より多くの発見をし、より多くの材料を探求することが可能だとみている。このプロジェクトに取り組んでいる研究者らは、AI機能を活用して、電池のリチウムに代わる理想的で可能性のある材料を特定した。ちなみに、研究グループはAI技術を使って3,200万もの可能性のある材料をふるい分け、1週間足らずで18の材料に絞り込んだ。従来の方法であれば20年以上かかったであろうプロセスだ。

Microsoft ResearchのMicrosoft Quantum – Redmond (QuArC)グループのリーダー、Krysta Svore氏は以下のように生成AIの利用メリットを強調している:「私たちは、化学材料科学の次の250年を、次の20年に圧縮する必要がありますね?それは、私たちが地球を救いたいからです。この結果からわかるように、AIとハイパフォーマンス・コンピューティングが一緒になれば、その科学的発見を加速させることができるのです」。

リチウムは、スマートフォンから電気自動車に至るまで、私たちの電子機器のほとんどを動かしている。そのため、実際の供給量に対して需要が極めて高い。

このことを考えると、資源が容易に入手できなくなる事態に陥るかもしれない。米エネルギー省によると、リチウムイオン電池の需要は2030年までに過去最高を記録すると予測されている(現在の最大10倍)。

現在、各メーカーは増加する電池需要に対応するため、積極的に電池工場を増設している。これはかろうじて機能しているが、材料を調達する過程で大量の水とエネルギーを必要とするため、環境に悪影響を及ぼしている。

幸いなことに、科学者たちはリチウムに代わる完璧な候補となりうる材料を17種類も用意している。プロセスをよりシンプルかつ迅速にするために、生成AIと高性能コンピューティングを利用する事が新たな道筋を示したことは注目に値するだろう。


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