Microsotは、開発者会議「Build 2022」の中で、Windows Armの強化を目的としたいくつかの発表を行った。そしてその中で、QualcommのSnapdragon SoCを搭載したMicrosoftブランドの開発者向けミニデスクトップコンピューター「Project Volterra」を発表した。
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WinFuture : Build 2022 : Microsoft kündigt Desktop-PC mit Snapdragon ARM-CPU an
- MicrosoftがArm搭載の開発者向けPC「Project Volterra」を発表した。
- このVolterraのSoCは、「クラス最高のAIコンピューティング能力」を持ち、QualcommのNerural Processing SDKをサポートしている。
- Volterraには、Armネイティブの開発者ツールスイートが付属する。
Snapdragon SoCを搭載した開発者キット「Project Volterra」
MicrosoftはMac miniの様な外観を持つミニPC「Project Volterra」を発表した。ただし、このVolterraは開発者キットであり、一般向けの販売はないとのこと。
Microsoft CPOのPanos Panay氏は、Blogにて、同時に発表された、ネイティブArm 64版「Visual Studio 2022」など、これらのツールを使って「クラウドネイティブのAIアプリを構築してほしい」と語っている。
Microsoftは、搭載されているSnapdragon SoCの仕様について明らかにしていないが、特にAIを使用したい開発者を対象とした「開発キット」と言うことで、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を内蔵したQualcommのSoCを搭載し、「クラス最高のAIコンピューティング能力」と、QualcommのNeural Processing SDKをサポートしていることだ。
WinFutureは、2.99GHzで動作 する4つのARMCortex-X1コアと2.4GHzでクロックされる追加の4つのCortex-A78コアを含むSnapdragon 8cx Gen3であると予想している。
さらにMicrosoftによると、Volterraはスタック可能であり、理論的には開発者が2つ以上のSnapdragonチップセットを組み合わせることができるとのことだ。
背面には3つのUSB-Aポート、mini Display Port、Ethernetポート、側面には2つのUSB-Cポートと、このサイズにしては豊富なポートが用意されている。
スタッキング可能な黒い筐体は、同社が昨年発表した「オーシャン・プラスチック・マウス」と同じく「リサイクル・オーシャン・プラスチック」で作られている。
Project Volterraは、「今年後半」に価格未定で発売される予定だ。
M1 Macに対抗した製品を作りたいMicrosoft
Microsoftが開発者にWindows on Armを試してもらうために推し進めたハードウェアは、これが初めてではない。昨年は、特にアプリ開発者をターゲットにした219ドルのECS LIVA QC710をMicrosoft Storeにて販売していた。小型で手頃な価格だったが、4GBのRAM、貧弱なQualcomm 7cプロセッサ、64GBの内部ストレージ、およびポート選択のミスにより、開発者が興味を抱くには至らなかった。Volterraは、これらの欠点の一部または全部を解決する事を見据えて開発されたようだ。
現在、Windows on Armの普及を阻んでいるのは、優れたハードウェアの欠如だ。具体的には、IntelやAMDの性能に匹敵し、より優れたバッテリ寿命を実現する優れたArmチップがないことが原因と思われる。QualcommのWindows PC用チップは、AppleのM1ほど高速なものはなく、さらに高速なM1のバリエーションチップについては言うまでもない。Qualcommは買収したNuviaの技術でM1に匹敵するようなチップの開発を行っているようだが、最初のM1クラスの競合製品が登場するのは、Volterraがリリースされる予定のかなり後、2023年後半になるだろう。
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