TikTokの親会社であるByteDanceの従業員の多くが、かつて中国の国営メディアで働いていた。そして、現在も10数人の社員が中国の国営メディアと掛け持ちで働いているのではないかとForbesは報じている。
Forbesによると、ByteDanceとTikTokの従業員のLinkedInのプロフィールを調査した結果、従業員のうち300人が以前、国営メディア・団体で働いていたことが分かったとのことだ。現在の彼らの役割は、コンテンツパートナーシップ、戦略、政策、マネタイズ、“メディア協力”などとのことだ。
更に、Forbesが確認したプロフィールのうち、ByteDanceの従業員15人は、国営メディアで現在も同時に働いている可能性もあるとのことだ。これらの社員は、単にプロフィールの更新を怠っていた可能性もあるが(Forbesが問い合わせた社員は回答していない)、しかし、今回の調査を見るに、国営メディアとByteDanceでの兼業は珍しいことではないようだ。
Forbesは、ByteDanceの広報担当であるJennifer Banks氏が、300人の従業員が同社で働いていることや、彼らが以前国営メディアに所属していたことについて、特に異議は唱えていないと書いている。Banks氏はForbesに対し、「採用は、純粋にその仕事をするための個人の専門的能力に基づいて」行われると語った。
Banks氏は次のように説明している。「中国市場向けのビジネスでは、中国の政府や国営メディアの役職に就いていた人も含まれます。中国以外の市場でも、社員は数十の市場で政府、公共政策、メディア組織での経験を積んでいます。」
プロフィールから兼業していると思われる15人について、Banks氏はForbesに対し、「ByteDanceは従業員に副業やパートタイム、利害の対立を引き起こすような社外での事業活動を許可していない。」と語っている。
TikTokが世界的にも人気のあるアプリの1つに成長したことで、このプラットフォームと中国との結びつきが国家安全保障上のリスクをもたらすという懸念が世界中で起こっている。Forbesは以下のように述べている。
人々は今日、他のどのアプリよりも多くの時間をTikTokに費やしています。ここ数カ月、このアプリはアメリカ文化の強力な推進力として歓迎され、選挙や市民の議論における重要なプレーヤーとして急速に台頭しています。LinkedInのプロフィールは、中国が米国におけるTikTokの幅広い文化的影響力を自国の目的のために利用する可能性があるという懸念をさらに高め、この懸念により、ドナルド・トランプ前大統領を含む米国の政治家の一団が、2019年に同アプリの禁止を求めるに至ったのです。
また、このプロファイルは、ByteDanceが中国の国営メディア事業体との関係をどのように管理しているかについての重要な洞察を提供します。ByteDanceはTikTokのほかにも、中国本土で最も人気のある2つのアプリを含む多数のウェブサイトとサービスを運営しています。Douyin(短編動画アプリ)およびToutiao(ニュースアグリゲーター)です。中国の国営メディアはDouyinで最も人気のあるアカウントの一つであり、何百万人ものフォロワーを抱えている。LinkedInのプロフィールの多くは、ToutiaoやDouyinでの仕事を詳しく紹介しており、中国の厳しい検閲法に従わなければなりません。
ここ数カ月、TikTokと中国に本拠を置くオーナー企業ByteDanceとのさまざまなつながりについて詳細なレポートが相次いでいる。6月には、Buzzfeed Newsは、アメリカのTikTokのユーザーデータが中国の従業員によって繰り返しアクセスされていると報じたこともあった。
Forbesは、国営メディアからByteDanceに就職することは、かなり典型的なキャリアパスかもしれないと指摘している。しかし、外国政府との関係ですでに厳しい監視下に置かれている企業にとって、こういった新たな憶測を呼ぶつながりは、今後更なる懸念を呼ぶ可能性があるだろう。
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