ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は現在、MIRIという機器に問題を抱えている事が分かった。この問題は、中分解能分光観測(MRS)モードにおいて、MIRIの機構の1つに摩擦が大きくなったことが原因だ。観測装置はそれ以外は正常だが、解決策が見つかるまでMRSモードによる観測を停止することにした。
JWSTの中間赤外線観測装置(MIRI)は、搭載されている観測装置の中で最も重要なものの一つだ。5〜27マイクロメートルの波長域を見ることができる。この装置には、撮像、中解像度分光、低解像度分光、コロナグラフィの4つのモードがある。
8月24日、MIRIの中分解能分光モード(MRS)の観測準備中に、グレーティングホイールの不具合が発見された。グレーティングホイールは、短波長、中波長、長波長を選択する機能だ。科学観測に向けたセットアップの過程で、望遠鏡がこの機構の摩擦を検知し、不具合が発生した。
分光モードのMIRI装置の内部は以下の動画が詳しい。
予備的なヘルスチェックの後、9月6日に異常審査委員会が召集され、今後の最適な道筋が検討さた。その結果、JWSTは適切な解決策が見つかるまで、MIRIを用いたMRSモードでの観測を一時停止した。MIRIの残りの3つのモードは、まだ正常に動作している。他の機器にも影響はない。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のこれまでの問題点
2021年12月の打ち上げ以来、JWSTに問題が発生するのは初めてではない。前回は予想以上に大きな小隕石がJWSTのミラーセグメントの1つを直撃した。チームによって検出されるほどのダメージがあったが、それでも観測の質は当初の予想を上回っている。
現在の問題にもかかわらず、我々はまだ新しい画像が来ることを期待すべきだ。最近リリースされたタランチュラ星雲やオリオン星雲は間違いなく最後の画像にはならないだろう。今のところ、JWSTが使えるモードは他にもたくさんある。それに、JWSTがすでに観測していながら、まだ公開していないものもたくさんある。例えば、科学運用の最初の1ヶ月間に撮影したトラピスト1系の画像などだ。
今回の問題の解決策を見つけ、望遠鏡を完全に機能するモードに戻すことを願ってやまない。
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この記事は、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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