Intelは、データセンターの冷却にかかる電力量を、IT全体にかかる電力量の5%未満に抑える技術を奨励することを目的とした米国エネルギー省(DoE)のCOOLERCHIPSイニシアチブにおいて、170万ドルの賞金を得て取り組んでいる、斬新な液浸冷却ヒートシンクについて詳細に説明している。
DoEは、5月に新しい冷却技術を開発するためにCOOLERCHIPSに取り組む15社を発表し、NVIDIAとHPがプロジェクトに参加している。
将来のデータセンター用プロセッサは、2kWを超える電力を必要とすると予想されているが、現在の最も強力なチップの電力使用量が既に1kWに急速に近づいているため、将来的に既存の技術で冷却することは困難である事が予想されるため、このプロジェクトは重要な意味を持つ。
このプログラムを通じて開発された冷却ソリューションは、Intel Foundry Servicesを通じて生産される。これにより、ムーアの法則の継続が可能になると、Intelは同社らしい声明を発表している。
このプロジェクトでは、より効果的に熱を拡散させるために二相式液浸冷却を使用する3Dベーパーチャンバーキャビティ内に組み込まれた超低熱抵抗のサンゴ型浸漬冷却ヒートシンクの開発を行っている。研究チームは、二相式液浸冷却システムを0.025℃/ワットから0.01℃/ワット未満に改善することを目指している。
仕組みとしては、サーバーから発生する熱で液体が沸騰して蒸気が発生し、その蒸気が相変化して液体に戻り、熱を奪うという仕組みだ。
研究者は、ヒートシンクを3Dプリントし、さまざまな動作条件下で蒸発器をテストする予定だ。その後、蒸発器の設計と、核生成部位の密度を高めて熱抵抗を低減するコーティングを組み合わせる予定だという。これらのコーティングは現在、平らな表面に施されているが、研究によると、内部の溝のような特徴を持つサンゴのようなヒートシンクデザインが、二相液浸冷却による外部熱伝達係数が最も高くなる可能性があることが判明した。
チャンバーコーティングに関しては、宣伝されている「沸騰促進」特性のために、ナノコーティング、おそらくグラフェンが使用される可能性がある。
Intelの新しい液浸冷却技術は、TDP2,000Wを超えるチップを実現するだけでなく、既存のどの冷却技術よりも効率的であると主張されている。Intelによれば、現在、データセンターの総エネルギー使用量のうち、冷却に用いられるものが最大40%を占めるという。Intelの目標は、既存のシステムの0.025℃/ワットの能力を2.5倍以上向上させることだ。
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