先日、Intelの次世代Raptor Lake CPUのフラグシップモデルである「Core i9-13900K」のエンジニアリングサンプルを入手し、ベンチマークテストを実施していた中国のクリエイターExtremePlayer氏が、今度は i7-13700K と i5-13600K のエンジニアリングサンプルを入手したとして、ベンチマークテストの実施結果を動画で公開している。
ベンチマークテストでは新しいRaptor Lake CPUの大きな性能向上が見られ、現行モデルのAlder Lake CPUと比較して40%から60%ものパワー向上が見られる様だ。
bilibiliの動画によると、テストでは8Pコアと8Eコアを最大5.3GHzにクロックアップしたCore i7-13700Kを、DDR4-3600とDDR5-5200の組み合わせで動作させている。これらの結果は、同じメモリキットで動作するCore i7-12700Kと直接比較された。
また、Core i5-13600Kは、13700Kと同じようにDDR4とDDR5で動作され、6Pコアと8Eコア、最大5.1GHzの周波数を持つチップであることが仕様で示されている。テストは先代の12600Kと、同じメモリキットで比較された。
上記のベンチマーク結果によると、シングルスレッドワークロードでは13700Kがおよそ10%性能アップしているようで、これはCPU-ZとCinebench R20で最も顕著に表れている。しかし、マルチスレッドの結果では性能向上が更に顕著で、13700Kは、12700KFに対して120~140%も性能が向上しているのだ。
7-Zipの結果は特に興味深く、DDR5のテストでは、Alder Lake DDR5の平均が140.51%であるのに対し、13700KはベースラインのDDR4の結果と比べて164.84%という圧倒的な向上となっている。このことから、Raptor LakeはAlder Lakeに比べて、メモリを多用するアプリケーションでDDR5の能力をより活かせることがわかる。
i5-13600kの結果は13700Kと同様だが、チップのマルチスレッド性能にやや偏りがある。この結果では、シングルスレッド性能は平均105~108%とやや悪い。しかし、前モデルを上回るマルチスレッド性能は13700Kを上回っており、ほとんどのベンチマーク結果で平均140%近くを記録している。
これは、13600Kと12600Kの周波数差の近さが関係していると思われる。また、13600KのEコア数は13700Kと比較して、どちらもAlder Lakeの前世代と比較して全く同じコア数のジャンプを備えているが、13600KはPコアの数が少ないため、よりインパクトが強いと言える。
全体として、これらのベンチマークは、Raptor Lakeが、シングルスレッド性能の向上はわずかで、よりマルチスレッドにフォーカスしたアーキテクチャになることを示唆していると言えるだろう。
しかし、Raptor Lakeはマルチスレッド性能だけでなく、シングルスレッド性能にも大きく注力するといううわさもある。つまり、Raptor Lakeは、これまでのプロセッサの中で最も高いコア周波数を持つと考えられており、一部のモデルでは公式の最大ブーストクロックが5.8GHzとなっているようだ。そのため、今回のベンチマークでは、13700Kが5.1GHz、13600Kが5.3GHzと控えめになっており、その性能の全てを発揮しているとは到底思えない。
結局の所、これらのチップは正式な生産バージョンではなく、おそらく何らかのエンジニアリングサンプルであることが全てだろう。従来、エンジニアリングチップは、現行世代のチップよりも低い周波数を搭載しているのが普通だ。そのため、現世代(Alder Lake)のチップを上回るコアクロックを持つエンジニアリングサンプルをすでに見ているということは、Raptor Lakeの製品版では更なるクロック周波数が提供されると言えるだろう。
ただし、13700Kと13600Kの7-Zipにおける例外的に速いDDR5性能は、12700KFと12600Kと比較して圧縮スコアが一気に上昇したことを割り引くことはできない。このような性能向上が、メモリを多用する他のアプリでも実現されれば、Raptor Lakeの発売とともに、多くの人がDDR5に交換することになるかもしれない。
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