米国の制裁によりHuaweiの半導体開発が制限されているにもかかわらず、同社は様々な国内サプライヤーとの提携を通じてチップ事業を強化している。その成果の1つとして、AIチップ「Ascend 910B」が開発されたが、半導体調査会社SemiAnalysisの調査によると、この新たなAIチップはAI処理能力において、これまで中国企業の多くが依存していたNVIDIAのA100 GPUと同等か、やや優れた性能を示していることが明らかになったようだ。
このチップは、中国のSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp)が7nmプロセスで製造したもので、すでに本土の流通チャネルを通じて入手可能だという。
ちなみに、8月にはBaiduが1600個のAscend 910Bチップを発注したとReutersによって報じられており、iFlytekはHuaweiのAscendチップをベースにしたFeixing Oneコンピューティングプラットフォームを発表した。
業界関係者やアナリストは、NVIDIAが米国の制裁により限られた性能のAIチップしか販売できない中国において、このチップはNVIDIA製品に取って代わる可能性があると見ている。
このチップは、2019年8月に発売されたAscend 910の後継となる。国家安全保障上の懸念を理由に米国への輸入が禁止されていた。Huaweiは910Bについて公式にコメントしていない。
NVIDIAと同様に、Huaweiはハードウェアとソフトウェアの統合を最適化したいと考えている。Huawei独自のCompute Architecture for Neural Networksプラットフォームは、Ascendのハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、AIチップの性能を最大化する。しかし、登録開発者が200万人を超えるNVIDIAのCUDAエコシステムには、Huaweiはまだ遠く及ばない。
NVIDIAは、H20 GPUやおそらくRTX 4090のローカライズ版など、中国市場専用の新しいAIチップをいくつか開発している。
しかし、当初11月16日に発売が予定されていたH20チップの発売は、サーバーメーカーとの統合問題のため、2024年第1四半期まで延期された。この延期は、中国におけるNVIDIAの市場シェアに影響を与え、Huaweiのような地元の競合他社に利益をもたらす可能性がある。
H20に加え、NVIDIAはL20とL2チップも中国で販売する予定だ。この新しいチップは、NVIDIAの高度なAIチップであるA800とH800の出荷を妨げる米国の輸出規制の強化に対応するものである。
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