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子供の頃、空に描かれる飛行機雲を眺めては、遠い世界に向かう飛行機に憧れを抱いた物だが、そうした飛行機雲が実は地球温暖化の原因となっており、航空業界では削減に取り組んでいることをご存じだろうか。

Googleはこの程、同社のAIを活用し、最適な飛行ルートを算出することで、燃料消費を大幅に増やすことなく、地球温暖化を引き起こす飛行機雲(飛行機が残した白い線)を減らす事が可能になったと報告している。

American Airlinesと持続可能エネルギー企業のBreakthrough Energy社とともに、Googleの研究者たちは、飛行機雲が気候変動に与える影響を評価するために、衛星画像、天候、飛行経路データの膨大なデータベースを調べ上げた。研究者たちはAIを使い、飛行機雲が発生しやすい場所と、それを防ぐためにパイロットが取るべきルートを予測した詳細な地図を作成した。

American Airlinesのパイロットのグループは、GoogleのAIを搭載したモデルを使って、6ヶ月間にわたって70回のテスト飛行を行った。その結果、パイロットは飛行機を方向転換させることで、飛行機雲の発生を50%以上減少させることができ、燃料消費量は平均でわずか2%増加した。最終的にルートを変更する必要があるフライトはごく一部であり、燃料使用量の増加は0.3%程度にとどまる可能性がある。

飛行機が湿度の高い地域を飛ぶと飛行機雲が発生しやすく、飛行機のエンジンの排気から出るすすは、高度が高くなると結晶化して氷になる。このため、地上から見える白い雲のような排気の筋が残る。

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(Credit: Google)

飛行機雲は、本来は大気に反射されるはずの熱を閉じ込めることで、地球温暖化に寄与する可能性がある。夜間の飛行機雲の場合、太陽光がないため、熱と太陽光の組み合わせではなく、地上から上がってくる熱だけを閉じ込めることになる。

「これは、商業飛行が飛行機雲を確実に回避し、それによって気候への影響を減らすことができることを証明する最初のポイントです」とGoogleは述べた。同社はまた、このフライトが2%の燃料を追加消費したことにも言及しているが、Googleはこのフライトを選択することも可能であると示唆している。

Googleは発表の中で、「今後数年間、AIを使って飛行機雲の回避を実現するために航空業界全体で取り組みます。飛行機が気候に与える影響を減らすための、費用対効果が高く、拡張性のあるソリューションになる可能性があります」と述べている。

しかし、航空会社は現在、気候への影響に対して明確に課税される事もないため、地球温暖化の抑制に役立つ路線の利用を選択する様子はまだ見られない。


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