Google、AIによって飛行機の地球温暖化への影響を劇的に軽減できる可能性を報告

masapoco
投稿日 2023年8月14日 10:08
Trace of the high flying plane

子供の頃、空に描かれる飛行機雲を眺めては、遠い世界に向かう飛行機に憧れを抱いた物だが、そうした飛行機雲が実は地球温暖化の原因となっており、航空業界では削減に取り組んでいることをご存じだろうか。

Googleはこの程、同社のAIを活用し、最適な飛行ルートを算出することで、燃料消費を大幅に増やすことなく、地球温暖化を引き起こす飛行機雲(飛行機が残した白い線)を減らす事が可能になったと報告している。

American Airlinesと持続可能エネルギー企業のBreakthrough Energy社とともに、Googleの研究者たちは、飛行機雲が気候変動に与える影響を評価するために、衛星画像、天候、飛行経路データの膨大なデータベースを調べ上げた。研究者たちはAIを使い、飛行機雲が発生しやすい場所と、それを防ぐためにパイロットが取るべきルートを予測した詳細な地図を作成した。

American Airlinesのパイロットのグループは、GoogleのAIを搭載したモデルを使って、6ヶ月間にわたって70回のテスト飛行を行った。その結果、パイロットは飛行機を方向転換させることで、飛行機雲の発生を50%以上減少させることができ、燃料消費量は平均でわずか2%増加した。最終的にルートを変更する必要があるフライトはごく一部であり、燃料使用量の増加は0.3%程度にとどまる可能性がある。

飛行機が湿度の高い地域を飛ぶと飛行機雲が発生しやすく、飛行機のエンジンの排気から出るすすは、高度が高くなると結晶化して氷になる。このため、地上から見える白い雲のような排気の筋が残る。

飛行機雲は、本来は大気に反射されるはずの熱を閉じ込めることで、地球温暖化に寄与する可能性がある。夜間の飛行機雲の場合、太陽光がないため、熱と太陽光の組み合わせではなく、地上から上がってくる熱だけを閉じ込めることになる。

「これは、商業飛行が飛行機雲を確実に回避し、それによって気候への影響を減らすことができることを証明する最初のポイントです」とGoogleは述べた。同社はまた、このフライトが2%の燃料を追加消費したことにも言及しているが、Googleはこのフライトを選択することも可能であると示唆している。

Googleは発表の中で、「今後数年間、AIを使って飛行機雲の回避を実現するために航空業界全体で取り組みます。飛行機が気候に与える影響を減らすための、費用対効果が高く、拡張性のあるソリューションになる可能性があります」と述べている。

しかし、航空会社は現在、気候への影響に対して明確に課税される事もないため、地球温暖化の抑制に役立つ路線の利用を選択する様子はまだ見られない。


Source



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • Apple iPhone 14 Pro iPhone 14 Pro Max deep purple 220907 geo inline.medium
    次の記事

    iPhone 14 Proのバッテリーが急激に劣化しているとの報告が相次ぐ

    2023年8月14日 10:48
  • 前の記事

    企業の75%がChatGPTなど生成AIの禁止を検討との調査結果

    2023年8月14日 6:53
    chatbot illustration

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

おすすめ記事

  • openai

    OpenAI、15秒の音声サンプルから感情豊かで自然な音声を合成できる「Voice Engine」を発表

  • a04c35e8e555c1cc7ae1d6a5f3159856

    MicrosoftとOpenAI、1000億ドル以上をかけて超人的AI開発のためのスーパーコンピューター「Stargate」を開発する計画

  • Sam Altman TechCrunch SF 2019 Day 2 Oct 3 cropped cropped

    ベンチャーキャピタリスト、OpenAIのSam Altman氏を“誇大妄想的”と非難

  • google logo image

    Googleが非営利団体を対象に2000万ドルの資金を提供し生成AI活用を支援

  • Pixel 8 in Rose.max 936x936.format webp

    Google、方針を転換しPixel 8にもGemini NanoによるオンデバイスAI機能を搭載へ

今読まれている記事