Googleは、同社が誇る最も高度なAI言語モデルの1つである「PaLM」へのアクセスを開発者に提供する事を発表した。同社は、多数のAIエンタープライズツールとともにPaLMのAPIを発表し、「シンプルな自然言語のプロンプトからテキスト、画像、コード、ビデオ、オーディオなどを生成する」ビジネスを支援するとしている。
PaLMは、OpenAIが作成したGPTシリーズやMetaのLLaMAファミリーに似た大規模言語モデル(LLM)である。Googleは2022年4月にPaLMを初めて発表した。他のLLMと同様に、PaLMは柔軟なシステムで、あらゆる種類のテキスト生成・編集タスクを実行できる可能性がある。例えばChatGPTのような会話型チャットボットになるようにPaLMを訓練することも出来、テキストの要約や、コードを書くようなタスクに使うことも可能だ。(これは、Googleが本日発表した、Google DocsやGmailなどのWorkspaceアプリの機能にも似ている)。
合わせて、開発者がPaLMに特定のタスクを実行させるためのトレーニングを容易にするために、GoogleはPaLM APIと並行してMakerSuiteと呼ばれる新しいアプリを発表している。「MakerSuiteを使えば、プロンプトを繰り返し表示したり、合成データでデータセットを補強したり、カスタムモデルを簡単にチューニングしたりできるようになります」と、同社はプレスリリースで述べている。Googleによると、ユーザーに優しいAIシステムを作るために必要なこの種の微調整は、ブラウザで行うことも可能で、トレーニングやデプロイの計算集約的な作業はGoogle Cloudで処理される。
Googleは、PaLM APIの提供開始に加え、企業の機械学習モデルのトレーニングやデプロイを支援するためのAIプラットフォーム「Vertex」において、ジェネレーティブAIのサポートを拡充している。
Vertex AIは、Google Cloudのエンドツーエンドの機械学習プラットフォームで、データサイエンスチームがMLモデルの開発および展開を、特徴エンジニアリングからモデルトレーニング、低遅延推論、エンタープライズクラスのガバナンスとモニタリングまで、迅速に行うことができるようにする。
現在、開発者はGoogle CloudでGoogleの基礎モデルを使用することができ、最初はテキストと画像を生成することが可能だ。そのうち、音声や動画の生成も可能になる予定だという。Google Cloudの顧客は、モデルを発見し、プロンプトを作成・修正し、独自のデータで微調整し、アプリケーションをデプロイすることができるようになる予定だ。
また、「会話型AIフローを、すぐに使える検索体験や基礎モデルと結びつける」という、「Generative AI App Builder」というまったく新しいサービスも開始する。これによって、開発者が自身のデータをもとに、AIを搭載したチャットインターフェースやデジタルアシスタントを構築できるようになる。「Generative AI Application Builderは、ビジネスユーザー(必ずしも開発者だけではありません)が開発者と協調して、企業のコントロールを尊重しながら、検索、会話体験、基盤モデルの力を活用できるように設計された高速アプリケーション開発環境です」とのことだ。
そのためにGoogleは、基礎モデルとエンタープライズサーチ機能、そして1ターンや複数ターンの会話を構築する会話AIを組み合わせた。Kurianは、これは情報を取得するために使用されるだけでなく、企業のAPIに適切にフックすることで、取引を行うためにも使用できると指摘している。
Googleは発表の中で、企業のトレーニングデータは常に非公開であり、より広範なモデルのトレーニングには使用されないことを強調している。
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