Google創業者の120メートル巨大飛行船が飛行許可を取得

masapoco
投稿日 2023年10月30日 9:57
lta research airship3

Googleの共同創業者Sergey Brin氏は、2015年にLighter than Air Researchと言う企業を創業した。この企業は、大量の貨物と救援隊員を到達困難な被災地に届けるための飛行船開発を目的として設立されたが、IEEE Spectrumが最近報じたところによると、LTA Researchの飛行船「Pathfinder 1」の特別耐空証明書を米連邦航空局(FAA)から取得したという。この証明書は、シリコンバレーにある民間と軍の共同空港であるモフェット・フィールドでの屋外飛行テストを許可する物だ。

Pathfinder 1の特別耐空証明書

この耐空証明により、Pathfinder 1はモフェット・フィールドとパロアルト空港の空域内で、高度約460メートルまでの飛行が可能になった。これにより、民間航空交通に支障をきたすことなく、飛行船が南サンフランシスコ湾上空を飛行する機会が広がる。FAAへの申請書の中で、LTA Researchは飛行試験プログラムについて詳述し、”飛行船の飛行エンベロープを実証し確立する”ことを目標としていることを強調している。

従来の飛行船とは異なる能力

Pathfinder 1は、従来の飛行船とは異なるユニークな設計を誇っている。このヘリウム充填飛行船は、96個の溶接されたチタン製ハブと288本の炭素繊維強化ポリマー製チューブで構成されており、初期の飛行船で使用されていた水素に代わるはるかに安全な不燃性ヘリウムを揚力ガスとして使用できるほど軽量である。

12基の電気モーターと4つのフィン・ラダーを装備したPathfinder 1は、垂直離着陸(VTOL)が可能で、最高時速75マイル(120km)に達することができる。この飛行船は、耐久性のあるラミネート加工されたTedlar製の外層に、リップストップナイロン製の13個のヘリウムバッグが収納されており、それぞれにガスレベルを監視するライダーシステムが装備されている。

また、この飛行船はハイブリッド推進システムを採用しており、150キロワットのディーゼル発電機2台と24個のバッテリーを組み合わせて電気モーターに電力を供給する。現在のモデルはヘリウムを使用しているが、LTA Researchは将来のバージョンで水素を使用することを想定しており、燃料電池やターボジェネレーターの燃料として、さらには追加の揚力ガスとして使用する可能性もある。

Pathfinder 1のテストと計画

報告によると、LTA Researchは耐空証明を取得しているが、具体的な詳細はまだ公表されていない。Pathfinder 1はシングルパイロット用に設計されており、初期飛行テストではデュアルコントロールと2人目のパイロットが搭乗する。ドイツのZeppelin社によって設計されたゴンドラには最大14人が搭乗可能だが、試験中は必要な人員のみが搭乗する。

Pathfinder 1号は、カリフォルニアで大規模な飛行試験を行った後、LTA Researchが将来の製造目的で取得したオハイオ州アクロンの旧グッドイヤー・エアドック飛行船格納庫に移行する予定である。全長590フィート(180メートル)の大型飛行船、Pathfinder 3はすでに開発中である。

人道的・貨物ミッション

LTA Researchは、飛行船が人道的ミッションで重要な役割を果たすことを想定しており、陸路ではアクセスできない地域に貨物や人員を届ける。Brin氏の非営利団体であるGlobal Support and Developmentは、このようなミッションを海上で実施してきた実績があり、Pathfinder飛行船によってその取り組みを空にも拡大する可能性がある。

Pathfinder 1の耐空証明書の有効期限は1年だが、LTAは180日以内にテストプログラムを完了させる予定だ。FAAによる許可は、この革新的な飛行船技術の開発における重要なマイルストーンであり、Pathfinder 1号が初飛行試験を行う様子を世界中が見守ることになる。

Sergey Brin氏の飛行船Pathfinder 1がFAAからテスト飛行の許可を得たことで、飛行船技術の未来は有望視されている。そのユニークなデザインと能力により、この飛行船はインフラが限られた地域での貨物輸送や人道的任務に革命をもたらす可能性がある。耐空証明書の発行は、屋外での飛行テストを可能にし、Brin氏のビジョンを現実に近づける重要な前進である。


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