史上初めて、科学者が実験室で培養された赤血球を患者に投与した。これは、英国で行われた臨床試験の一環で、この最先端の技術の安全性を調査するものとなり、パンデミックによって悪化した血液供給不足に対処するのに役立つ可能性がある。
- NHS Blood and Transplant: First ever clinical trial of laboratory grown red blood cells being transfused into another person
- University of Cambridge: First ever clinical trial of lab-grown red blood cell transfusion
- The Guardian: New hope for sickle cell patients as UK trial of lab grown red blood cells begins
- CNBC: Lab-grown blood given to humans in world-first trial aimed at combatting rare disorders
この試験は、ブリストル大学、ケンブリッジ大学、国民保健サービス(NHS)などの機関の協力によって行われた。
赤血球の形状に影響を与え、血流を阻害する鎌状赤血球症や、ヘモグロビンというタンパク質の生成量が少ないサラセミアなどの疾患を持つ人にとって、定期的な輸血は命を救うことになる。
研究者によれば、その目的は、輸血の大部分を占めるであろう通常の人間の献血に取って代わることではないとのことである。しかし、この技術によって、鎌状赤血球貧血などのために輸血を必要とする人々にとって不可欠な、入手困難な非常に珍しい血液型を製造することができるようになるかもしれない。
また、比較的古い細胞を含む可能性のあるドナーの血液とは異なり、実験室で培養された細胞は新鮮であることが保証されている。つまり、輸血の頻度を減らすことができる。輸血の回数が多いと、体内の鉄分が過剰になる危険性があるのだ。
科学者たちは、通常の献血から始め、磁気ビーズを使って、赤血球に変化することができる柔軟な幹細胞をピンポイントで特定した、とCNBCは報じている。
ガーディアン紙によれば、幹細胞は18日から21日間、栄養溶液の中に置かれ、細胞が増殖し、より成熟した細胞に成長するよう促されるとのことである。そして、この幹細胞に放射性物質のタグを付け、最初の幹細胞注入から6カ月間、治験参加者の血液サンプルで追跡調査を行った。
これまでのところ、2人の健康なボランティアが実験室で成長した赤血球の投与を受けたが、特に悪い副作用は報告されていない。次に研究チームは、少なくとも10人の被験者に、4ヶ月以上の間隔をおいて、通常の献血された赤血球と実験室で培養された赤血球からなる「ミニ」輸血を2回行う予定である。
研究チームは、患者の血液サンプルを分析し、実験室で培養された赤血球が体内で作られた赤血球よりも長持ちするかどうかを調べる予定である。さらなる研究が必要ではあるが、これは血液疾患の治療において大きな前進となる。
NHS Blood and Transplant社の輸血部門責任者であるFarrukh Shah(ファルク・シャア)氏は、「血液の大部分を供給するための通常の献血の必要性は今後も変わらないでしょう。しかし、この研究が輸血困難な患者に恩恵をもたらす可能性は非常に大きいのです」と述べている。
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