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米・地熱発電スタートアップ「Fervo Energy」強化地熱システムでこれまで困難だった地域での発電を実現へ

ヒューストンを拠点とする米国のエネルギースタートアップ Fervo Energy社は、ネバダ州北部のプロジェクト・レッド実証サイトで「商業規模」の地熱エネルギー生産を達成したと発表した。同社のプレスリリースによると、このサイトは最近、地熱エネルギー設備の標準である30日間の坑井テストを完了した。

地熱エネルギーは、世界が化石燃料からの脱却を進める中で模索されている再生可能エネルギーのひとつである。風力発電所や太陽光発電所とは異なり、地熱エネルギーのメリットは、24時間、オンデマンドを供給する事ができることであり、これは風力発電や太陽光発電に対する大きなアドバンテージとなる。

地熱エネルギー・システムがうまく機能するには、その場所の熱、流体、岩石の浸透性の組み合わせが必要だ。ほとんどの場所では、岩盤は発電に十分な熱を持っている。しかし、流体を通すほど多孔質ではない。そこで強化地熱システム(Enhanced Geothermal Systems: EGS)の出番となる。

強化地熱システムとは?

Fervo Energyが開発したEGSは、これまで地熱発電が不可能だった地域でも地熱エネルギーを利用できるようにする新しい方法だ。精密方向性掘削技術を採用し、地熱貯留層を水平方向に掘削する。これにより、単一の場所から複数の坑井を掘削できるようになり、地表面積が大幅に削減され、掘削のリスクが軽減されるとのことだ。また、水平掘削により、以前は到達するのが困難であった地質へのアクセスが容易になり、地熱エネルギーの総資源量が増加する。水平坑井に流体を注入して岩盤に亀裂を作り、浸透性を高める。これにより発電に必要な条件を整える事が可能となるのだ。

EGSの発電方法としてはまず地下にある高温の岩石に井戸を掘り、そこに多量の水と化学物質を高圧で注入することで裂け目を作り出す。ここに水を送り込み、そこで熱されて発生した蒸気を地表に戻すことで発電を行うのだ。

この技術を大規模に展開する前に、その有用性と、行為から生じるリスクをどのように軽減できるかを実証しなければならない。米エネルギー省(DOE)はこれらのマイルストーンに関するプロトコルを定めており、Fervo Energyは本格的な商業パイロットとしてプロジェクト・レッドを実施した。

商業規模の地熱エネルギー

デモでは、Fervo Energyは3,250フィート(約990メートル)、華氏375度(摂氏191度)に達する水平坑井を使用した。テスト期間中、Fervo Energyは毎秒63リットルの流量を達成し、3.5メガワットの発電に十分な電力を供給した。1メガワットのエネルギーは、一度に約750世帯に電力を供給することができる発電量だ。

このパイロット試験で収集されたデータは、Fervo Energyの次の坑井の設計を改善し、生成されるエネルギー出力を倍増させるために使用される。「石油・ガス業界の掘削技術を応用することで、世界中の新しい地域で24時間365日カーボンフリーのエネルギー資源を生産できることが証明されました」と、Fervo EnergyのCEO兼共同設立者であるTim Latimer氏はプレスリリースで述べた。

Fervo Energyは現在、ネバダ州のサイトを電力網に接続し、Googleのデータセンターにエネルギーを供給する計画だ。Googleとは2021年にカーボンフリーエネルギーの契約を結んでおり、地熱分野では初の企業間契約となる。

Fervo Energyは、ユタ州南西部にも建設中のサイトを持っている。設計を改良すれば、2028年までにユタ州住民の4分の1にあたる30万世帯分の電力をまかなえる400MWの発電が可能になる見込みだ。

とはいえ、地熱エネルギーはその利点の一方で、発電コストの高さに悩まされている。米国政府は、今後10年間でコストを90%削減し、メガワット時あたり45ドルに近づけようとしている。Fervo Energyは、現時点ではこの目標に近づいていないが、来年にはコストが急速に低下するとLatimer氏はBloombergに語っている。


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