Appleの元従業員がThe New York Times紙に語ったところによると、Appleの音声アシスタントSiriは、OpenAIのChatGPTほど強力なものになる可能性は低いようだ。
2014年にSiriの改良のために雇われ、2016年に同社を去った元AppleエンジニアのJohn Barkey氏は、Siriの設計上の問題が、新機能を追加することを困難にしているという。
Barkey氏によると、Siriはレストランの場所やミュージシャンの名前など、多数の単語を含むデータベースから抽出することで、「天気はどうですか」「この曲を再生できますか」といった簡単な質問に答えることは出来る。だがその結果、Siriは限られた数の問い合わせしか理解することが出来ない。つまり、エンジニアは機能の拡張に際しては、都度、データベースに新しい単語を追加していく必要があるとのことだ。
Barkey氏は、この設計から、Siriのデータベースを「大きな雪だるま」と呼んでいる。同氏によれば、新しいフレーズを追加するには、データベースを完全にオーバーホールする必要があるため、最長で6週間かかるとのことだ。ChatGPTのような検索などの高度な機能を統合するには、1年程度かかるしている。Siriの基本的な機能さえもアップデートすると、古くなった複雑なコードのため、数週間かかる可能性があるという。
Barkey氏のSiriに対する警告は、大人気のAIチャットボットChatGPT(現在は最新言語モデルGPT-4で稼働中)が、その素晴らしい能力で音声アシスタント技術を利用していることから来るものだ。ChatGPTに比べると、Siriは酷く陳腐なものに見える。最近OpenAIに100億ドルを投資したMicrosoftのCEO、Satya Nadella氏は今月、AmazonのSiriやAlexaのような音声アシスタントは「岩のように間抜けだ」とFinancial Timesに語っている。
Siriの共同創業者であるAdam Cheyer氏も同意見だ。彼はFT紙に、ChatGPTのエッセイを書いたりコードを開発したりする能力は、既存の音声アシスタントを馬鹿馬鹿しくさせると語った。「これまでの選択肢は面倒くさすぎた」とCheyer氏は語った。
実際に、「Hey, Siri!」や「OK, Google!」と音声アシスタントを呼び出して質問しても、意図した様に理解してくれず、見当外れの答えが返ってくることは、ユーザーなら誰しも経験した事があるだろう。
合わせて、The New York TimesはAppleでは、Siriのチームのメンバーが言語モデルのコンセプトを毎週テストしていると報告しているが、製品は発表されていない。
Source
- The New York Times: How Siri, Alexa and Google Assistant Lost the A.I. Race
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