ワープドライブがまだ不可能でも、光より速い通信は可能だろうか?

masapoco
投稿日
2023年11月28日 13:31
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Universe Today』の読者の多くは、私と同じようにSFジャンルのファンだろう。『スター・ウォーズ』のライトセーバーから『メン・イン・ブラック』のニューラライザーまで、SFにはクレイジーな発明がたくさんあり、SF作家が夢を見れば、科学者やエンジニアがそれを創造しようとする。SFの聖杯といえば、『スタートレック』のワープドライブだろう。しかし、もしワープドライブが実現しないのであれば、光よりも速い通信はどうだろう!

ワープ・ドライブから始めよう。 このコンセプトは、光速を超える速度で宇宙船を推進できるドライブである。スタートレックのライターによると、その速度はワープ速度の係数で表され、ワープ係数自体の3次関数との乗算によって光速の倍数に変換される!わかった!この記事にとって重要なことではないので、ご心配なく。基本的に、「ワープ1」は光速に相当し、「ワープ2」は光速の8倍、「ワープ3」は光速の27倍である!そこに問題がある。光よりも速い航行を実現することだ。

MITのBill Bertozziが電子を加速させ、どんどん重くなり、それ以上加速できなくなるのを観測した!いったん光速に達すると、物体をさらに加速するには無限のエネルギーが必要になる!彼が達成した最高速度は光速であった。他の実験では、同期させた原子時計を旅客機に搭載し、地球上の基準時計に対して高速で移動した後、時間の流れが遅くなることを発見した!要するに、速く進めば進むほど時間の流れは遅くなり、光速になると時間は止まるということだ!時間が止まれば速度も止まる!うーん、これは厄介だ。

光より速い移動の科学はさておき、1994年に提案されたアルクビエレ・ドライブのように、ワープ・ドライブの設計の可能性は数多く浮上している。しかし、光より速い旅を実現するための共通の要素は、大量の負のエネルギーと呼ばれるものである。量子力学の研究によれば、何もない空間にもエネルギーがあり、何もない空間よりもエネルギーが小さいものには「負のエネルギー」がある。 問題は(多くの問題の中で)、ワープドライブの動力源となる負のエネルギーを大量に得る方法を誰も知らないということだ。

ワープドライブはまだ先のようだが、光より速い通信はどうだろう?宇宙船のような巨視的な物体を加速させるには大量の負のエネルギーが必要だが、最近の論文で説明されているように、はるかに小さなスケールで動作する通信は、より小さなエネルギーしか必要としない。実際、稲妻のエネルギーよりも少ないのだ。 さらに興味深いのは、現在の技術で少量の負エネルギーを作り出すことができるかもしれないということだ。

これを実現する方法のひとつは、負のエネルギーの適切な配置と配分を確保することである。 この論文では、超光速通信のためのワープバブルの加速と減速を可能にする、ハイパーチューブと呼ばれる負のエネルギーの管状分布を提案している。 長距離通信を実現するには、特別な装置を設計・製造する必要があるが、論文の著者であるLorenzo Pieriは、「超光速コンピューティングが可能なマイクロチップの製造を考えると、胸躍るものがある」と結論づけている。 そう、それはエキサイティングな提案だが、光よりも速いスピードで宇宙に向けてメッセージを発信することを考えると……。まさに驚きだ!


論文

研究の要旨


この記事は、MARK THOMPSON氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。



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