風力発電というと、大きな羽の付いた風車でタービンを回して発電しているイメージが強いと思うが、今回ノルウェーのWorld Wide Wind社が開発したという、新しいタイプの浮体式垂直軸風力発電機(VAWT)は、これまでの風力発電機のイメージを覆してくれるだろう。
同社のVAWTは、2組の逆回転ブレードを採用し、現在の最大級のタービンの2倍の出力を生み出すことが可能だという。
新型の逆回転垂直軸風車は2倍のエネルギーを生み出す
VAWTは、従来の洋上風力発電機と異なり、ブレード以外の重量物を底部近くに配置することで、重心が低くなっているのが特徴だ。また、どの方向からも風力を受けることができ、風向きを変える必要がないため、一部の機構を削減することができる。
World Wide Wind社の設計は、Contra-Rotating Vertical Turbine(CRVT)と呼ばれ、2つのVAWTが1つになっている。低い方はタワーの底部に近い部分で回転し、高い方は上部に取り付けられており、それぞれ反対方向に回転するように設定されている。片方のタービンをローターに、もう片方をステーターに取り付けることで、静止したステーターと比較して相対的な回転速度が2倍になり、より多くの電気を生み出すことができるのだ。
「CRVTは風を受けて傾き、特別に設計されたブレードを採用することで、各タワーから下流への乱流後流を減らすことができる」と、World Wide Windは述べている。これにより、より多くのタービンを一定の面積に設置することができ、より多くの電力を生み出すことが可能になるとしている。
2029年までに40MWの実用化モデルを目指す
現在、世界最大の風力発電機は、高さ242メートルのMingYang Smart Energy 16.0-242で、16MWの出力を持っている。World Wide Wind社は、この数字を遙かに超える、高さ400mで、1基あたり40MWの大出力を可能にするとしている。
Richargeのインタビューに応じた同社の代表は、ラピッドプロトタイピングによってCRVTの開発を加速させることに取り組んでいると語った。2026年には3MW、早ければ2029年には40MWの大型機を完成させたいと考えている。
しかし、World Wide Wind社は、CRVTの効率と出力に関する裏付けとなる証拠を何ら提供していない。目標を実現するためには、もっと多くの研究が必要なようだ。しかし、World Wide Wind社は、Uppsala大学、Sinted、North Wind、Kjeller Vindteknik、Norwegian Energy Partners、Norwegian Offshore Wind Clusterとのパートナーシップを発表しており、研究は着々と進んでいる。
クリーンエネルギーの普及が叫ばれている昨今、画期的なイノベーションがこの分野でも起こることが期待されている。
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