ハワイ最高峰のマウナケア山にある望遠鏡のカメラが、空を横切る不気味な緑色のレーザーの壁を撮影した事が報告された。
この緑色の光のショーは、1月28日に発生し、ハワイ島の休火山マウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」に取り付けられた、国立天文台(NAOJ)と朝日新聞社が共同所有する「すばる・あさひ・スターカメラ」が捉えたものだ。当初、国立天文台はYouTubeの動画で、レーザーはNASAのICESat-2衛星から発せられたものだと発表していた。もしICESat-2であれば、レーザーはNASAの言う「可視スペクトル上の明るい緑色」のレーザービームを発する高度地形レーザー高度計(ATLAS)装置から発せられたことになる。
しかし2月6日、国立天文台はYouTubeの動画説明文を更新し、今回捉えた緑色のレーザー光の発生源がNASAの人工衛星ではないことを発表した。今回のハワイ上空の緑色のレーザーの発生源はNASAの衛星ではなく、中国の衛星である可能性が高いというのだ。
説明欄には以下のように追記されている。
ICESat-2 ATLAS装置科学者であるNASAのMartino, Anthony J博士によると、彼らの機器によるものではなく、他の機器によるものであるとのことです。彼の同僚であるAlvaro Ivanoff博士らは、同様の観測装置を持つ衛星の軌道をシミュレーションし、中国のDaqi-1/AEMS衛星のACDL装置が最も可能性の高い候補であることを突き止めました! レーザーの同定にご尽力いただいた事に心から感謝するとともに、このイベントに関する混乱とICESat-2チームへの潜在的影響について深く陳謝いたします。
ハワイ上空に現れた緑色のレーザーの映像は、中国の人工衛星(たとえ科学研究用であっても)が発生源である可能性を示唆し、ソーシャルメディア上でセンセーションを巻き起こしている。米国が中国のスパイ気球を撃墜した後、緊張が高まっているが、中国は民間研究用であるとしていた。
Daqi-1は昨年打ち上げられ、ICESat-2と同様の目的で、レーザーを使って大気汚染を監視するように設計されている。
Daqi-1には、ACDL(Aerosol and Carbon dioxide Detection Lidar)を含む5つのデータ収集機器が搭載されている。Lidarとは、Laser, imaging, detection, and rangingの略で、ソナーと同じような仕組みだが、音波の代わりにレーザービームを照射してマッピングを行う。iPhoneの顔認証技術Face IDにも用いられている技術だ。
ACDL技術は、2波長のレーザーを照射し、地球大気中のさまざまな分子を検出することができる技術です。このレーザー光が跳ね返ってくるまでの時間から、大気や地上の組成を知ることができるのです。例えば、ACDLは1572ナノメートルの波長帯のレーザーを2つ交互に照射することで、地球大気中のCO2量を測定することができます。
Daqi-1を開発した中国航空宇宙科学技術公司のプレスリリースでは、「Daqi-1は、微粒子汚染、二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾンなどの汚染ガス、および二酸化炭素の濃度を監視できます」と説明されている。
すでに稼働しているDaqi-1に加え、Daqi-2が温室効果ガスを追跡し、中国の二酸化炭素排出量削減に貢献するとプレスリリースは説明している。中国が目標を達成するために、緑色のレーザーが地球上の他の地域の上空に侵入するのは、これが初めてではなさそうだ。
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