ビデオゲーム業界における最大のイベントとして25年以上にわたり運営されてきた「Electronic Entertainment Expo: E3」が、ついにその歴史に幕を閉じた。ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)によるThe Washington Post紙への声明と、かつてX上での「GGWP(Good Game, Well Played)」のメッセージにより、E3の終焉が世界に知らされた。
E3が開催されなくなることは、業界関係者やファンにとって大きな驚きではなかった。2020年のE3プレスカンファレンスは中止され、2021年のE3はオンラインでのバーチャルイベントとして開催されたが、これがE3としては最後のイベントとなった。E3の終わりを示唆する兆候は以前から存在していた。
かつてE3は、三大コンソールメーカーと様々なパブリッシャーが毎年最大のゲーム発表を行う中心的な場所として機能していた。これには、新作ゲームの初公開や新しいコンソールハードウェアの発表、その他さまざまなビデオゲーム関連の発表が含まれていた。夏に開催されるE3は、年末商戦に向けての盛り上がりを作るのに理想的なイベントだった。
E3終焉の原因は2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックが与えた影響も大きいだろう。しかし、業界全体としては、それ以前からE3から離れつつあったのも事実だ。
2011年、任天堂は「Nintendo Direct」という形式を導入し、通常E3のプレスカンファレンスで発表されるトレーラーや発表をライブストリームのビデオ形式で行うようになった。他のパブリッシャーや開発者も、ゲームの発表や公開をオンライン中心に移行し始め、Sonyは2019年のE3には出展していなかった。
インターネットやソーシャルメディアの時代以前には、E3は年間最大のゲーム発表の主要なプラットフォームとして多くの意味を持っていた。しかし、残念ながら、E3がゲーマーに提供していたのは発表そのものだけだった。
パブリッシャーにとってのE3の利点は、より広告に関連していた。しかし、毎年数百万、場合によっては数千万を費やして高価なプレスカンファレンスを開催するよりも、より多くのユーザーに、より効果的に多くの情報を届けることができるのならばそれに越したことはない。ユーザーも年に一度のゲーム発表イベントのために飛行機のチケットを購入するよりも、自宅で同じ発表を見ることができるのであれば、お互いにWIN WINだろう。それ以前から始まっていたオンラインへの移行が、パンデミックにより加速した事が、E3にとどめを刺したのではないだろうか。
Sources
- The Washington Post: E3, once gaming’s biggest expo, is officially dead
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