TrendForceの最新レポートによると、数四半期に渡って見られたDRAM価格の下落が鈍化しているようだ。同社調査によると、今四半期のDRAM価格の下落幅は0~5%程度にとどまるという。この数字は、2023年第2四半期のDRAM価格下落率が13~18%であったことを鑑みると印象的だ。数字自体はDRAM市場全体(サーバー、モバイル、グラフィックスを含む)のものだが、一般ユーザーにとって重要となるPC向けDRAMについても当てはまる物である。
TrendForceによると、DRAM価格の下落が鈍化した理由のひとつは、大手3大メーカーが減産に踏み切ったことだという。このような措置は、メーカーにとっては一時的な救済策になるかもしれないが、人為的に希少性を作り出そうとしたり、生産速度を大幅に落としたりすることは、競争市場においては通常、持続可能な戦略ではない。DRAMメーカーには、より大容量のRAMコンフィギュレーションをより手頃な価格にするなどして需要を喚起することを期待した。
DRAMメーカーにとってもう1つ気になるのは、TrendForceがDRAMの在庫水準が高いと主張していることだ。過剰な在庫を抱えることも、長期的には堅実な戦略とは言えない。大手のいずれかが生産ラインや在庫からの圧力を開放すれば、さらなる大幅な価格下落を引き起こす可能性がある。その一方で、新しいデバイスやプラットフォームがDRAMの大量購入を促すことを期待して、在庫を保有する可能性もある。
TrendForceは、第2四半期と第3四半期の数字と市場知識から、DRAM価格が「2024年まで」回復する可能性はないと見ている。
TrendForceによれば、特にPC向けDRAMについては、DDR4の供給過剰が続いており、今四半期(第3四半期)の価格は3~8%下落する見込みである。PC DDR5については、第3四半期は0~5%程度の緩やかな下落にとどまるだろうとしている。このように、PCメーカーやDIYerが、より新しく高速なメモリ規格を使用するシステムに徐々にシフトしている影響や、おそらくアーリーアダプターがより大容量のDDR5キットを購入する影響も見られる。
GPU向けDRAMは、PC向けDRAMの第2四半期対第3四半期の価格下落が減速しているのと同様の状況だ。TrendForceは、最近のRTX 40XXシリーズの発売により、GDDR6 16Gbチップ(2GB VRAM)の需要がかなり高まっていると指摘している。さらに、コンポーネントメーカーがVRAMを統合するピークシーズンに差し掛かっているため、PCシステムメモリよりも先にグラフィックスRAMが底を打つ(上昇する)可能性がある。
結論として、これらの数字は、ここ数四半期に見られたPC RAM価格の下落が鈍化している可能性を示しているようだ。RAMのアップグレードを考えている人にとっては、この決断は正しいかもしれないが、新しくPCを組み立てようと考えている場合は、それ以外にも考慮すべきPCコンポーネントはいくつもあるため、全体としてのバランスを考えたいものだ。
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