高性能GPUを搭載すればゲームが快適に楽しめるものと考えるのが普通だが、タスクとスケジューリング管理を行うCPUが場合によってはボトルネックになる可能性がある。Microsoftは、新しいタイプのGPU自律機能を導入するDirectX 12の新機能「Work Graphs」APIを正式にリリースし、この問題に対処しようとしている。
従来、CPUはGPUが必要とする割り当てを “推測”しなければならなかったが、必ずしも正しく推測できるとは限らない。割り当てが過剰になり、GPU が不要なスレッドを削除することを強制される可能性すらある。その結果、そこそこ強力なCPUでさえも動作が重くなり、GPUの能力を浪費することになる。このような状況では、世界で最も強力なGPUを搭載しても、ゲームの動作が良くなることはない。Work Graphsは、GPUをより自律的にすることで、GPU自身に作業命令を与え、CPUへの往復回数を減らすことを目的としている。
これにより、CPUが事前に計画を立て、GPUのタスクを整理することが出来る様になる。各ブロックを待つ代わりに、CPUは事前に実行すべきタスクのリストを提供出来るため、GPUは別のタスクが送信されるのを待つ必要がない。CPUとGPUが連携する事でメモリをより速く、効率的に管理し、複雑なタスクをスムーズに実行できるようになるのだ。
Microsoftは、Work Graphsは “ユーザーのアルゴリズム的な意図を捉える”方法であると説明している。システムがよりダイナミックで、リアルタイムに反応して効率的に作業を実行するため、開発者はゲームが実行されるハードウェアについてあまり詳しく知る必要はない。もちろん、その詳細は高度で技術的なものだ。
Work Graphsは、古いゲーミング・システムを復活させるきっかけになるかも知れない。多くのゲーミング・ノートPCは、最新のGPUシリコンとともに、そこそこのCPUを搭載している。GPUでより多くの作業を実行することで、これらのマシンはより長く高速であり続けることができる。デスクトップシステムのCPUを交換するのは、GPUを交換するよりも手間がかかる。Work Graphsを使えば、古いCPUはそのままに、新しいGPUのパフォーマンス上のメリットをすべて得ることができるのだ。
Work Graphsをゲームに組み込むかどうかは開発者次第なので、このDirectXアップデートですべてのゲームのパフォーマンスが即座に向上するわけではない。また、Work Graphsを利用するには、比較的最新のGPUが必要になる。NVIDIAによれば、この機能はAmpere(RTX 30)とAda Lovelaceベース(RTX 40)のビデオカードで動作する。AMD側では、サポートはRadeon RX 7000シリーズに限られている。
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