半導体の市場調査会社であるTrendForceは、チップファウンドリが直面している「注文キャンセルの波」についての観測を含むレポートを発表した。景気後退の危機は数ヶ月前か続いており、これは大きな驚きではないが、TrendForceは現在実際に見られるチップファウンドリのキャンセルに関する情報と、新年を迎えるにあたり何が起こると予想されるかを伝えている。
成熟プロセスでの製造にキャンセルが続いているが、最先端プロセスは依然として堅調な模様
Trend Forceによると、ファウンドリの主流である、0.1Xμmプロセスで製造される大型ドライバICや、55nmプロセスのTDDI(タッチスクリーンコントローラー)の受注キャンセルが相次いでいるとのことだ。以前から、MCU(Micro Control Unit)やPMIC(Power Management IC)については供給不足が生じていたが、これまでのところ、チップファウンドリはキャンセルされた分のリソースを再配分することで稼働率はほぼ100%に保っていた。だが、ここにきて、PMIC、CIS(CMOS Image Sensor)、一部のMCU、SoC(System on Chip)などでキャンセルが出始めているとのことだ。これにより、ファウンドリの稼働率が低下してきているという。
TrendForceは、2022年下半期には、スマートフォン、PC、TV関連のSoC、CIS、PMICなどの周辺部品で在庫調整が始まり、ファウンドリへのウエハ投入計画を抑制する企業が出始めると予測しており、「最先端の7/6nmプロセスでさえ、これらの注文キャンセルから逃れられない」と警告している。
現在最も稼働率が低下しているのは、8インチウェハーサイズのものとなっている。主にドライバ IC、CIS、電源関連チップだ。このうち、ドライバICは、TVやPCの冷却需要の影響を直接受けており、ウエハーの投入量の下方修正が最も厳しいものとなっている。下半期も需要減は続き、民生用のPMICやCISの受注キャンセルも始まっているようだ。全体として90〜95%程度の稼働率になるようだ。
12インチウェハーでも生産の減少が始まっているが、製品の多様性が高いこと、生産サイクルが最低でも1四半期かかること、また、一部製品の仕様変更もあることから、プロセス移行などのトレンドは短期的な景気変動の影響を受けにくくなっています。その結果、全体の生産稼働率は約 95%という高い水準を維持しています
主にCPU、GPU、ASIC、5G AP、FPGA、AIアクセラレータなどの生産に活用されている、7/6nmのようなファウンドリの先端プロセスに関しては、稼働率の低下はごくわずかであると見ている。スマートフォン市場低迷の影響を受け、5G APも受注量が下方修正されているが、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)関連製品の受注は安定しているとのことだ。このような生産ラインは、今年の下半期には95~99%の稼働率になると予測している。プロダクトミックスの再配分は、損失を食い止め、稼働率を維持するのに役立つだろう。
更に最先端の5/4nm プロセスに関しては、いくつかの新製品に牽引され、フル稼働に近い状態が続くだろうとのことだ。
上記の2022年下半期予測は、例えばCPUやGPUの新規受注が現時点では縮小されていないことを期待させる。暗号通貨の暴落により、AMDやNVIDIAが次世代GPUの発注を削減することが懸念されているが、TrendForceでは、依然として最先端のプロセスがフル稼働しており、Radeon RX 7000 GPUファミリー、Ryzen 7000 CPUファミリー、GeForce RTX 40 GPUファミリーの生産削減は確認されていないとのことだ。
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