英国のチップ設計企業であるArmは、同社の設計によるパワーと能力を示すために、独自の高度な半導体の開発に取り組んでいるとFinancial Timesが報じている。この動きは、今年末の新規株式公開(IPO)に向けて新規顧客の獲得と成長の促進を図るため、自社製品をアピールするためであるようだ。内部事情に詳しい関係者の話では、Armは製造パートナーと協力し、新しいチップを実現する予定とのことだ。
Armはこのために、モバイル機器、ノートパソコン、その他の電子機器向けの試作チップの開発を主導する「ソリューション・エンジニアリング」チームを新たに設置したという。このチームは、Qualcommで、Snapdragon SoCおよびテクノロジーチームを統括し、100以上のSoCの開発を監督してきたベテランである、Kevork Kechichian氏が率いているとのことだ。
Armは今年末の新規株式公開(IPO)後に新規顧客を獲得し、成長を促進したいと考えている。さまざまな業界幹部が同誌に語ったところによると、同社が過去6カ月間に着手した最新チップは、これまで以上に「先進的」だという。同社はこれまでも、ソフトウェア開発者が新しい設計に慣れるためのテストチップを開発してきたが、最新の取り組みはこれまで以上に大規模なものとなっている。
英国ケンブリッジに本拠を置くArmは、携帯電話を中心とした多くのチップメーカーに知的財産を供給しており、主要なチップ受託メーカーとパートナーシップを結んでいる。Armのチップデザインは、QualcommのSnapdragonやAppleのAシリーズなど、多くの主要なSoCのルーツを形成している。最近、ArmはIntelと提携し、Intel Foundry Services部門がARmベースのチップメーカーに18Aプロセス技術に基づくチップの製造を可能にしている。
Armのチップ製造への取り組みは、そのチップが十分に良いものであることが判明した場合、将来的に商業的なプレーヤーになる可能性があるという懸念を呼び起こした、という。しかし、同社に近い人たちは、「Armはプロトタイプに取り組んでいるだけで、ライセンス供与や販売をする計画はないようだ」と、語っているという。
実際、Armが実際のチップを販売することは、同社が顧客との直接の競争相手となり、ほとんどすべてのチップメーカーにデザインを販売できる「中立モデル」から逸脱することになるだろう。2022年、Armの最も重要な20の顧客は、同社の収益の86%を占めている。「少数の重要顧客の喪失は、グループの成長に大きな影響を与える可能性がある」と、同社は語っていた。
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