Samsunは、Armが設計する将来のCortex-XおよびCortex-A CPUコアについて、Samsung Foundryのゲート・オール・アラウンド(GAA)マルチ・ブリッジ・チャネルFET(MBCFET)トランジスタに基づく次世代プロセスでの製造に向けて共同で最適化を行う事を発表した。Samsungはこれが、モバイル機器における生成AIの未来に「革命を起こす」と主張している。
Samsungはブログで、両社が生成AIユースケース向けの「画期的なAIチップレット・ソリューション」に取り組んでいることを明らかにした。これはSamsungの2nm GAAFET SF2ノードを活用するもので、ArmのCPUに「さらなる性能と効率の向上」をもたらす。IP開発者とファウンドリの設計協力は、回路の性能を最大化し、消費電力を最小化するために極めて重要だ。
残念ながら、この資料では問題のCortex-X CPUコアがCortex-X5なのかCortex-X6なのかについては触れられていない。Samsungの次世代2nmクラスプロセス技術向けに最適化することに焦点を当てているが、ArmのIPを2025年に期待されるSamsungのSF2製造ノードまたは2026年に登場が予測されるSF2P製造プロセス向けに最適化するのかも不明だ。Armは同時にIntelの18Aノードでリファレンスチップを製造すると発表しているため、この開発は特に興味深い。
ArmとSamsungは、ArmのCortex-AおよびCortex-Xコアを、「次世代データセンターおよびインフラストラクチャカスタムシリコン」、スマートフォン、高性能汎用CPUコアを必要とする各種チップレットベースのソリューションなど、幅広いアプリケーション向けに調整すると述べた。
Armのクライアント事業担当SVP兼GMであるChris Bergey氏は「Samsungの最新プロセス・ノードでCortex-XおよびCortex-Aプロセッサを最適化することは、モバイル・コンピューティングで何が可能かを再定義するというわれわれの共通のビジョンを強調するものであり、われわれはAI時代の容赦ないパフォーマンスと効率性の要求に応えるため、境界を押し広げ続けることを楽しみにしています」と、述べている。
ArmとSamsungの提携の結果、両社の顧客は、カスタム設計のために、必要なものに応じてSamsungの2nm最適化バージョンのCortex-AまたはCortex-Xコアのライセンスを受けることができるようになる。これにより、開発プロセスが簡素化され、市場投入までの時間が短縮されるため、データセンターやその周辺アプリケーション向けにSamsung製の2nm設計が早晩登場する可能性がある。しかし、今のところ、ArmとSamsungは、共同開発の最初の成果が共同顧客に提供される時期については明らかにしていない。
現在普及しているFinFETとは異なり、GAAナノシート・ベースのトランジスタは、性能の最大化、消費電力の最適化、トランジスタ密度の最大化など、さまざまな方法で調整することができる。ただし、SamsungはこのGAAを既に3nmプロセスに採用しているが、歩留まりがあまり芳しくないとの報告もあり、これを今後改善できるのかどうかも焦点となるだろう。
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