もしAppleのTim Cook CEOがARヘッドセットデザインチームの警告に耳を傾けていたら、数年後に製品を発売することになってい可能性が高い。しかし、Financial Timesの報道では、Cook氏はできるだけ早くこのデバイスを発売したいと考えており、Appleの最高業務責任者であるJeff Williams氏も、同社のトップの考えに同意しているようだ。だが、デザインチームはARグラスがリリースできる時期まで待つことを望んでいたようだ。
当然、この意見の違いは社内に亀裂を生じさせたが、いずれも当初の目的から遠ざかることはないという。ARヘッドセットの名称は「Reality Pro」と噂されており、AppleのWWDCの基調講演で発表されると予想されていた。しかし、発売時期は6月に延期され、ヘッドマウント・ウェアラブルがまた延期されるかどうかは分からない。
Financial Timesに語った、ヘッドセットに携わった元エンジニアによると、発売を後押しする原因は、「出荷への大きなプレッシャー」があったためだとしている。「彼らは過去(数年)の間、毎年発売を延期してきた」
具体的になぜ頻繁に遅延が発生するのかは不明だが、プロジェクトに詳しい複数の関係者は、オペレーションチームと有名な工業デザインチームとの間に緊張関係があることを示唆している。
現在は退職しているAppleの元・デザインチーフJony Ive氏の下で大きな影響力を持っていたデザインチームだが、彼の退職やスタッフの入れ替わりなどがあり、現在はほとんど影響力を失っているという。
ヘッドセットのデザインチームは、ARグラスを搭載できるほど技術と市場が成熟した数年後に発売したいと考えていた。残念ながら、AppleはARグラスの開発で技術的な問題が発生したため、無期限で開発を一時停止したと伝えられている。Cook氏とWilliams氏は、当面の間、消費者にかさばる高価なヘッドセットを販売することを望んでいるようだ。彼らにとっては、今が好機であり、そうでなければ、SamsungやGoogleが追い上げてくる競争のリスクがある。
とはいえ、初号機となるARヘッドセットの販売台数は、Appleが近年販売してきたiPhoneの台数に遠く及ばないだろう。あるレポートによると、Appleは2023年に100万台しか出荷しないと言われており、1台の価格が3,000ドルと噂されているため、Appleは発売全体で30億ドルしか収益を上げることが出来ない。これは、会社の規模を考えると低いと思われるかも知れないが、iPhoneやApple Watchといった大きな節目となった製品の売上が、初期にふるわずともその後歴史的に伸びていることもあり、製品のでき次第ではこの流れがヘッドセット分野で起こる可能性もあるだろう。
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