米国の総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)は、Apple Watchから得られた心電図データをAIで解析するアルゴリズムの開発に取り組んでいるが、今回報告された内容では、この新しいアルゴリズムを使えば、医療現場で専用機器を用いる前に、Apple Watchで早期に心機能不全を発見出来る可能性があるとのことだ。
- Apple Watchの心電図機能をAIで解析することで、心機能不全を早期に発見する事が可能との研究結果が報告される。
- このアルゴリズムをApple Watchに搭載することで、心臓に不安を抱えている人は、早期に疾患の兆候を発見出来る可能性が生まれる。
Apple Watchの心電図をAIで解析することで気づきにくい心機能不全も検出できたとの研究報告
この研究は、サンフランシスコで開催された不整脈に関する非営利団体、Heart Rhythm Societyのカンファレンスで発表された。この研究では、アルゴリズムが少数の患者の心臓のポンプ機能低下を正確に検出することがわかった。テストは、米国および11か国の参加者による125,000のApple Watchの心電図データを含む分散型調査の一部として実施された。
クリニックの心臓専門医は、この結果が「Apple Watchにその機能を組み込むことの早期の実現可能性を確立する」と考えている。
これは、Apple Watchのようなデバイスからのシングルリード(心電図)の臨床的問題に対する有用性を探る研究をデザインできることを実証しており、研究者はその点を評価する必要があります。これは最初の一歩と見るべきですが、決してゴールデンタイムに間に合ったわけではありません。
マス・ジェネラル・ブリガム(ボストン)の心臓専門医 Collin Stultz氏
この研究では、最近心電図をとった2,400人以上のデータも活用された。メイヨークリニックのアプリが、アルゴリズムを用いて心電図を解析。心臓のポンプが弱いと言われた16人の患者のうち、13人は実際の診断でも心臓のポンプの動きが弱いことが判明した。
心臓病の早期発見に役立つ
このアルゴリズムは、心臓に問題がある可能性が高い患者に使うのがベストだが、世の中には自分では気付かないうちに心臓に問題を抱えている可能性もあるため、そういったケースも想定される。同クリニックでは、この点を改善すべく、現在、世界中の100万人を対象に、さまざまな心機能アルゴリズムを検証する研究に取り組んでいるという。その目的は、患者の心臓病をより早く発見し、悪化する前に治療を受けられるようにすることだ。
STATの記事によると、心臓ポンプの動きが弱い症状、つまり左心室機能不全は、世界中で2-3%、60歳以上では最大で9%の人が罹患している病気だ。Apple Watchが検出できる心房細動と同じく、病気を抱えていたとしても症状が出づらいことがある。心臓のポンプが弱いと、不整脈や心臓病のリスクが高くなる。
高血圧や糖尿病を患っている人で60歳以上の人は、心臓のポンプが弱っていることに気づいていない可能性があります。あまり頻繁に医者に行くことはないかもしれませんが、お店で買った時計が、スクリーニングが必要な重要なシグナルがあることを教えてくれるかもしれませんから、この意味は大きいですね。
メイヨークリニック循環器内科医長、本研究のリーダー Paul Friedman氏
このアルゴリズムが多様な人に対応できるように、さらに研究が進められている。
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